交通事故による『高次脳機能障害』は弁護士法人心まで

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高次脳機能障害における症状固定の時期

  • 文責:弁護士 森田清則
  • 最終更新日:2025年5月15日

1 高次脳機能障害における症状固定の時期の目安

症状固定とは、これ以上治療を続けても、医学的に、その症状の改善が期待できなくなった状態をいいます。

高次脳機能障害における症状固定の時期は、被害者の症状の内容や程度、治療内容や症状の経過、年齢等によってケースバイケースですが、一般的な目安としては、受傷後1年程度です。

2 高次脳機能障害の症状と治療

交通事故により、脳挫傷、頭蓋内血腫、びまん性軸索損傷等の傷害を負い、脳が損傷すると、認知障害(記憶障害、集中力の欠如、遂行機能障害、判断力低下等)、人格的変化(感情易変、不機嫌、攻撃性、自発性の低下等)等、高次脳機能障害の典型的な症状が生じることがあります。

脳外傷に対する治療法は、主として手術またはCT等による経過観察ですが、高次脳機能障害に対する治療法は、認知行動療法や代償訓練によって機能回復を図るリハビリテーションです。

症状自体の改善が困難な場合は、習慣化、環境支援等により、社会生活に適応させる訓練を行います。

被害者の症状を正確に把握した上で、その症状に応じた専門的かつ適切なリハビリテーションを受けることが重要です。

3 成人被害者の症状の経過

成人被害者の脳外傷による高次脳機能障害の場合、一般的に、急性期に発現した重篤な症状は、急速に回復が進みます。

多くの場合、社会復帰をめざしてリハビリテーションを行うことにより、発症後1年程度までは著しい改善がみられ、その後は目立った回復がみられなくなり、症状が固定するといわれています。

4 幼児・児童や高齢者の症状の経過

幼児や児童の場合は、成人に比べて頭部外傷に対する抵抗力が強く、回復力が高いという特徴があります。

そこで、保育園、幼稚園、学校生活上の適応困難の程度を適切に見極めるために、受傷後1年より長期の経過観察期間を設けることが望ましいでしょう。

また、高齢者の場合は、被害者の加齢による認知機能等の低下も併存していることが多いという特徴があります。

そこで、一定期間経過後、症状の改善がみられなくなり、その後、時間の経過とともに症状が悪化した場合は、症状固定時期が争点となるおそれがあります。

症状固定時期が争点となると、交通事故による脳外傷が認知機能障害等の症状増悪の原因であることを裏付ける医学的所見等が必要となります。

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