高次脳機能障害のご相談をお考えの方へ
万が一弁護士に言いにくいことが生じてしまった場合の対応について心配されている方もいらっしゃるかと思います。弁護士法人心ではそのような不安を払拭するため、お客様相談室を設置し対応しています。
- 高次脳機能障害など高度な医学的知識が必要な案件にも対応していますか?
- 安心してお任せください。私たちがもっとも得意としている分野です。当法人では、後遺障害認定機関であり、自賠責調査事務所を統括する機関である「損害保険料率算出機構」にて、難易度の・・・続きはこちら
- 後遺障害による逸失利益とは、どういうものですか?
- 後遺障害による逸失利益とは、事故によって負った障害がなければ得られたはずの収入を意味します。逸失利益は、基礎収入、労働能力喪失率、就労可能年齢の終期である67歳までの年数(高・・・続きはこちら
- 後遺障害等級認定の結果に不満があるのですが、何かできることはありますか?
- 損害保険料率算出機構による等級認定に不満がある場合には、異議申立てを行い、再度の審査を受けることが可能です。このとき不利に認定が覆ることはありません。また、異議申立ては何度で・・・続きはこちら
- 高次脳機能障害の後遺障害慰謝料の相場はいくらですか?
- 高次脳機能障害の後遺障害等級には、1級、2級、3級、5級、7級、9級の等級があり、場合によっては、12級や14級が認定されることもあります(併合加重がされると上記以外の等級・・・続きはこちら
高次脳機能障害に関するQ&Aをまとめています
弁護士法人心では高次脳機能障害のご相談に関してもしっかりと対応することが可能です。皆様の疑問に対して丁寧にお答えしながらサポートさせていただきますので、安心してお任せください。
高次脳機能障害は弁護士法人心にご相談ください
高次脳機能障害などの後遺障害を取り扱っている弁護士がご相談を承っています。そのため、深い知識や理解を必要とする場面でもしっかりと対応させていただくことが可能です。
スタッフも丁寧に対応します
高次脳機能障害に対して適切な認定を受けるためにも、弁護士にはなるべくお早めにご相談ください。まずは、フリーダイヤルへのお電話でご予約をお取りください。受付担当の者が丁寧に対応させていただきます。
弁護士法人心の事務所所在地
弁護士法人心の事務所は東京・銀座・池袋・横浜・千葉・船橋・柏・名古屋・栄・東海・豊田・津・四日市・松阪・岐阜・大阪・京都にあります。どの事務所も駅から近いためご相談に便利です。
当法人に関するお知らせ
当法人の弁護士へのご相談は、平日はもちろん夜間・土日・祝日といった時間帯であってもしていただくことが可能です。年末年始などの電話受付等に関するお知らせを掲載しておりますのでご覧ください。
高次脳機能障害と症状固定
1 高次脳機能障害とは
交通事故で頭部に外傷を負ったり意識障害があったりした場合、高次脳機能障害が生じる可能性があります。
高次脳機能障害とは、物事をすぐに忘れるといった記憶障害、ぼんやりしていてミスが多いといった注意障害、2つの事を同時に行うと混乱するといった遂行機能障害、思い通りにならないと大声を出すといった社会的行動障害などにより、日常生活や社会生活に制約が生じている状態をいいます。
2 高次脳機能障害の治療
高次脳機能障害には様々な症状があるため、症状に応じて治療やリハビリを行うのが一般的です。
例えば、社会的行動障害が強く社会生活を送るのが困難な場合には、入院のうえ、病院で治療やリハビリを受けることが多いです。
また、一定程度社会生活を送ることが可能であれば、自宅で療養し、通院してリハビリを受けることもあります。
高次脳機能障害の治療期間は、症状にもよりますが、1年~2年くらいのことが多いと思います。
3 高次脳機能障害の症状固定
交通事故でケガをして治療を受けている場合、医師が、これ以上治療を行っても改善は難しいと判断することがあります。
これを「症状固定」といいます。
症状固定の判断は原則として治療を担当していた医師が行いますが、高次脳機能障害の症状は人によって異なるうえ、リハビリによって少しずつ改善することも多いため、症状固定の判断が難しいケースもあります。
あまりに早期に症状固定と判断されてしまいますと、その後に十分な治療を受けられず、継続して治療を受けていれば改善していたかもしれない症状がそのまま残ってしまうケースも考えられます。
適切な段階で症状固定と判断してもらうためには、ご家族などの周囲の方が、被害者の様子をしっかりと観察し、気になることがあればメモにするなど記録を行い、できるだけ詳細な状況を医師に伝えることが大切になります。
ご不安な場合には、一度弁護士にご相談ください。
4 症状固定後の対応
症状固定時の症状にもよりますが、高次脳機能障害になった場合、後遺障害が認定されることがあります。
そのため、症状固定後は、後遺障害等級の認定申請を検討することになります。
症状固定後も残ってしまった高次脳機能障害が、後遺障害として認定された場合には、認定された等級に応じて、加害者側に対して損害の賠償を求めていくことになります。
高次脳機能障害になった場合の介護費用の請求
1 介護費用は請求可能
高次機能障害が残存し、将来にわたって被害者の介護が必要となる場合、高次脳機能障害の内容や程度、必要とされる介護の内容等に応じた将来介護費を、交通事故による損害として加害者に賠償請求することができます。
特に、後遺障害等級申請を行い1級と2級が認められている場合には、その等級の認定基準に介護を要する状態であることが含まれているため、介護の必要性があることが明らかであるとして賠償請求が認められる傾向にあります。
3級以下の等級であっても、高次脳機能障害の内容や程度によって、被害者の見守りや声掛け等が必要である場合、介護の必要性が認められるケースもあります。
2 介護費の計算方法
将来介護費の計算方法は、近親者介護か職業人介護かによって異なります。
同居の家族等による近親者介護の金額は、1日8000円程度が目安となりますが、具体的な介護の内容や介護時間、近親介護者の負担の程度等、個別の事情によって増減されます。
介護業者による職業人介護の場合は、必要かつ相当な実費全額が基準となります。
職業人介護費は、近親者介護費より高額となるため、加害者側が請求金額に応じない可能性があります。
このような場合は、高次脳機能障害の内容や程度、必要とされる介護の内容や時間、介護し得る親族の有無や勤務状況等、個別の事情に基づき、職業人介護が必要であることを主張・立証することが大切になります。
3 当法人にご相談ください
高次脳機能障害の将来介護費は高額となりやすく、また様々な法的論点を含みます。
そのため、弁護士の中でも適切に対応できる者は少なく、交通事故や高次脳機能障害に関する深い知識が求められます。
当法人には、交通事故・後遺障害に強い弁護士が多数在籍するのみならず、損害保険料率算出機構で高次脳機能障害の後遺障害等級認定業務に携わった経験をもつスタッフが在籍しており、高次脳機能障害に関するご依頼にも適切に対応することのできる体制を整えています。
被害者の方が高次脳機能障害を負ってしまったことによって、どのようなお困りごとを抱えているのか、また被害者の方をサポートするにあたってどのような介護が必要になるのか等をしっかりとお伺いし、それぞれのケースに応じた賠償金を獲得できるようサポートいたしますので、高次脳機能障害と診断された被害者の方やそのご家族の方は、当法人にご相談ください。
高次脳機能障害の等級認定に不服がある場合
1 認定された等級に不服がある場合の対応
⑴ 自賠責保険に対して異議の申立てを行う
自賠責保険に対して異議の申立てを行う場合、通常は、異議の理由を記載した書面やそれを裏付ける資料を提出します。
異議の申立てに対する認定結果に不服がある場合は、さらに異議の申立てを行うこともでき、異議の申立てに回数制限は設けられていませんが、通常は新たな資料を提出する必要があります。
⑵ 自賠責保険・共済紛争処理機構に対して紛争処理(調停)の申請を行う
紛争処理機構による調停は、弁護士、医師、学識経験者で構成される紛争処理委員会によって審査が行われます。
紛争処理機構の利用は1回のみとなっており、再度の申請を行うことはできません。
⑶ 訴訟を提起
自賠責保険の結果や紛争処理機構の結果に不服がある場合は、訴訟を提起して、裁判所に判断してもらうことも可能です。
裁判所は、自賠責保険や紛争処理機構の判断に拘束されませんが、自賠責保険等で認定された等級より低い等級が認定されるリスクもあります。
2 高次脳機能障害の相談は当法人へ
交通事故による高次脳機能障害の等級は、事故前後の状況や事故後の経過などをふまえて判断されるため、経験やノウハウが重要になります。
また、高次脳機能障害で認定された等級に不服がある場合には、認定理由を適確に分析して対応する必要があるため、弁護士などの専門家に相談した方がよいでしょう。
交通事故の高次脳機能障害でお困りの方は、ぜひ当法人までご相談ください。
高次脳機能障害について弁護士に依頼する場合の費用
1 弁護士費用は法律事務所によって異なる
弁護士費用は、法律事務所によって異なります。
たとえば、弁護士費用特約が無い方で、着手金(案件を依頼するときに案件の結果に関わらず生じる弁護士報酬)が必要となる法律事務所もあれば、着手金は無料で、成功報酬金と実費等のみ生じる法律事務所もあります。
着手金が発生する事務所は、旧日弁連報酬基準と同じような報酬基準を設定している法律事務所が多いようです。
たとえば、経済的利益の額が125万円以下の場合には着手金が11万円、経済的利益の額が125万円を超え300万円以下の場合には着手金が請求額の8.8%、経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合には着手金が請求額の5.5%+9万9000円、経済的利益の額が3000万円を超え金3億円以下の場合には着手金が請求額の3.3%+75万9000円、経済的利益の額が3億円を超える場合には着手金が請求額の2.2%+金405万9000円、というような基準です。
2 大切なのは高次脳機能障害に詳しい弁護士に依頼すること
高次脳機能障害は、その症状の程度によって後遺障害の等級が異なりますが、後遺障害の等級が一つ異なるだけで、百万円単位、場合によっては、一千万円単位で賠償金が異なることがあります。
弁護士費用はもちろん大切ですが、より大切なことは高次脳機能障害に詳しい弁護士に依頼することです。
3 当法人の弁護士費用
当法人では、弁護士費用特約が無い方であっても、着手金は無料、成功報酬金が19万8000円+獲得金額の8.8%、実費等が弁護士費用になります(事案の内容等によって異なることがあります)。
4 当法人には損害保険料率算出機構に勤めていた元職員が在籍している
高次脳機能障害は、その症状の程度によって後遺障害の等級が異なりますが、適切な後遺障害等級認定を得るためには、後遺障害等級認定申請の際の提出書類の選別やその内容の精査が必要になります。
もっとも、後遺障害等級認定申請の認定基準は外部には公開されておらず、適切な知識やノウハウを持つ弁護士は多くありません。
当法人では、損害保険料率算出機構に勤めていた元職員が在籍しています。
適切な等級認定の獲得を目指してサポートさせていただきますので、高次脳機能障害でお悩みの方は、当法人にご相談ください。
適切な高次脳機能障害の賠償を得るために大切なこと
1 主治医が症状を適切に把握し、記録していること
高次脳機能障害の症状は、注意障害、記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害など多岐にわたり、医師であっても被害者に生じるすべての症状を適切に把握することは難しいことが多いです。
その大きな理由としては、症状が多岐にわたることに加えて、事故前から受診している患者や知り合いでない限りは、被害者の事故前の生活状況や能力を知らないことにあります。
そのため、被害者の事故前の生活状況や能力をよく知るご家族の方などが、主治医に事故前と事故後で変わった日常生活の行動や言動などを適切に伝えることが大切です。
後遺障害等級認定申請や裁判においては、医療記録が重要になるため、主治医が症状を把握したうえで、カルテなどに記録していることが大切です。
2 適切な検査等を受けられていること
高次脳機能障害の後遺障害等級認定申請は、診断書の内容、検査結果、画像所見の有無とその内容、日常生活状況報告書、神経系統に関する医学的意見など様々なものを考慮して判断されます。
適切な検査を受けていない場合や、MRIなど適切な画像撮影を行っていない、もしくは不鮮明である場合には、後遺障害等級認定申請において不利になることがあります。
そのため、適切な検査や適切な画像撮影を受けることはとても大切です。
3 後遺障害等級認定申請時の書類の内容に不適切な記載がないこと
日常生活状況報告書は、ご家族などが事故前の被害者の日常生活状況と事故後の日常生活状況の変化を記載する書面になりますが、症状の程度によって高次脳機能障害の後遺障害の等級が決まるため、万が一記入者が適切な症状を記載していない場合には、本来得られるべき等級が認定されず、賠償金が低くなる可能性があります。
そのため、後遺障害の申請前に、適切な症状が記載できているか、実際の症状と整合している記載ができているかなどを慎重に確認する必要があります。
4 高次脳機能障害でお悩みの方は
高次脳機能障害は、気を付けるべき点が多くあるものですので、高次脳機能障害でお悩みの方は、お早めに高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
高次脳機能障害による第2級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
1 後遺障害の賠償金
後遺障害が認定されると、後遺障害の損害として後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が認められることがあります。
後遺障害慰謝料は、後遺障害の精神的苦痛に対する賠償項目であり、後遺障害逸失利益は、後遺障害が無かったならば得られたであろう収入等の利益に対する賠償項目です。
保険会社は、被害者に賠償金を提案する際に、相場より低い金額で提案することが少なくないため、相場を知っておくと安心です。
2 後遺障害慰謝料
⑴ 相場
後遺障害第2級の後遺障害慰謝料(弁護士基準・裁判基準)は2370万円が目安になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、事案の内容等によって金額が変わる可能性があります)。
⑵ 自賠責基準
高次脳機能障害における第2級(別表第1)の自賠責基準の後遺障害慰謝料は、1203万円になります(令和2年4月1日以降に発生した事故の場合)。
⑶ 保険会社の示談金の提案に注意
保険会社は、被害者が弁護士に依頼していない場合、自賠責基準で提案することが少なくありません。
前記のとおり、弁護士基準の慰謝料は、2370万円になるため、自賠責基準と2倍以上の金額差があります。
示談書を取り交わした場合には、基本的には、示談金額を争うことができなくなりますので、示談が成立する前に弁護士に相談することが大切です。
⑷ 裁判例
高次脳機能障害で後遺障害第2級の認定を受けた被害者(女性)について、いったんは衝突を認めながらその後不自然不合理な弁解を繰り返して否認していること等を考慮し、本人分の後遺障害慰謝料として2500万円の損害を認めたものがあります(東京高判平成28年11月17日)。
3 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、一時金賠償の場合には、基本的には、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
たとえば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、事故前年度の給与額が700万円の給与所得者、後遺障害等級第2級、症状固定時の年齢46歳の男性の方の場合、一般的には、700万円×100%(後遺障害等級第2級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間21年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢46歳)に対応するライプニッツ係数15.415(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、基本的に、22年に対応するライプニッツ係数は12.8212)=1億0790万5000円になります(事案の内容等によって金額が変わる場合はあります)。
4 お気軽にご相談を
後遺障害認定は等級が1つ異なるだけでも、賠償金が、場合によっては数千万円違ってくることもあります。
まずは、お気軽にご相談ください。
高次脳機能障害による第9級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
1 後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益とは
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が認定された場合に認められる後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛に対する賠償金をいいます。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が無かったならば得られたであろう収入等の利益に対する賠償項目です。
2 後遺障害慰謝料
⑴ 弁護士基準
後遺障害第9級の弁護士基準(裁判基準)の後遺障害慰謝料は690万円になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、事案の内容等によって金額が変わる可能性があります)。
弁護士基準は、一般的に相場といわれる慰謝料になります。
⑵ 自賠責基準
高次脳機能障害における第9級の自賠責基準の後遺障害慰謝料は、249万円(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)になります。
⑶ 弁護士基準と自賠責基準
保険会社は、被害者が弁護士に依頼していない場合には、自賠責基準で提案することが少なくありません。
しかしながら、前記のとおり、相場といわれる弁護士基準の後遺障害慰謝料は、690万円であるため、自賠責基準と比べて2倍以上の金額差があります。
示談書の取り交わしが完了した場合には、基本的に、示談金額を争うことができなくなりますので、示談が成立する前に弁護士に相談することが大切です。
3 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、一時金賠償の場合には、一般的に、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
たとえば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、事故前年度の給与額が700万円の給与所得者、後遺障害等級第9級、症状固定時の年齢43歳の方の場合、一般的には、700万円×35%(後遺障害等級第9級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間24年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢43歳)に対応するライプニッツ係数16.9355(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、基本的に、24年に対応するライプニッツ係数は13.7986になります。)=4149万1975円になります(事案の内容等によって金額が変わる場合はあります)。
4 高次脳機能障害でお悩みの方は
高次脳機能障害はちょっとした症状の程度によって後遺障害の等級が変わり得る難解な分野の一つです。
当法人では後遺障害に詳しい弁護士が多数在籍しております。
交通事故に注力しておりますので、高次脳機能障害でお悩みの方は、お気軽に、当法人にご相談ください。
高次脳機能障害による第7級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
1 後遺障害が認定されると
後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が認められることがあります。
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛に対する賠償金であり、後遺障害逸失利益は、後遺障害が無かったならば得られたであろう収入等の利益に対する賠償項目です。
2 後遺障害慰謝料
⑴ 相場
後遺障害第7級の後遺障害慰謝料(弁護士基準・裁判基準)は1000万円が目安になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、事案の内容等によって金額が変わる可能性があります)。
⑵自賠責基準
高次脳機能障害における第7級の自賠責基準の後遺障害慰謝料は、419万円になります(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
保険会社は、被害者が弁護士に依頼していない場合、自賠責基準で提案することが多くあります。
しかしながら、前記のとおり、弁護士基準の慰謝料は、1000万円になるため、2倍以上の金額差があります。
示談書を取り交わした場合には、基本的には、示談金額を争うことができなくなりますので、示談が成立する前に弁護士に相談することをお勧めします。
⑶ 裁判例
たとえば、高次脳機能障害で後遺障害第7級の認定を受けた被害者について、仕事中に頼まれたことを忘れる、新しいことが覚えられない、常に道に迷う、人との意思疎通が上手に行えない、些細なことですぐ怒る、頭痛等の症状が残存したこと、などを考慮し、1030万円の後遺障害慰謝料を認めたものがあります(大阪地判令和元年11月7日)。
3 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、一時金賠償の場合には、基本的には、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
たとえば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、基礎収入が500万円の給与所得者、後遺障害等級第7級、症状固定時の年齢49歳の男性の場合、一般的には、500万円×56%(後遺障害等級第7級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間18年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢49歳)に対応するライプニッツ係数13.7535(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、基本的に、18年に対応するライプニッツ係数は11.6896になります。)=3850万9800円になります(事案の内容等によって金額が変わる場合はあります)。
高次脳機能障害による第3級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
1 後遺障害が認定された場合の賠償金の種類
後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が賠償金として認められることが一般的です。
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことの精神的苦痛に対する賠償金であり、一方で、後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたはずの利益に対する賠償金をいいます。
2 後遺障害慰謝料
⑴ 自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)
自賠責保険は最低限の補償金額を支払うための保険であり、実際の相場といわれる弁護士基準(裁判基準)の慰謝料よりも低額であることが多いです。
例えば、後遺障害第3級自賠責基準の後遺障害慰謝料は、861万円である一方、弁護士基準(裁判基準)の後遺障害慰謝料は1990万円が目安になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、事案の内容等によって金額が変わる可能性があります)。
保険会社は、自賠責基準で提案してくることも多くあるため、注意が必要です。
⑵ 裁判例
高次脳機能障害で後遺障害第3級の認定を受けた中学生の被害者について、被害者本人分の後遺障害慰謝料として1990万円を認めたもの(名古屋地判平成23年10月28日)や、高次脳機能障害で後遺障害第3級の認定を受けた4歳の被害者について、被害者本人分の後遺障害慰謝料として1990万円を認めたもの(札幌地判平成29年6月23日)があります。
3 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、一時金賠償の場合、一般的には、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
後遺障害等級第3級が認定された場合、基本的には、100%の労働能力喪失率が認められます。
たとえば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、基礎収入が700万円の給与所得者、後遺障害等級第3級、症状固定時の年齢47歳の男性の場合、一般的には、700万円×100%(後遺障害等級第3級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間20年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢47歳)に対応するライプニッツ係数14.8775(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、20年に対応するライプニッツ係数は12.4622になります。)=1億0414万2500円になります(事案の内容などによって金額が上下する可能性があります)。
4 弁護士をお探しの方は
当法人では、高次脳機能障害に詳しい弁護士が多数在籍しております。
後遺障害慰謝料や逸失利益についてお悩みの方は、当法人にご相談ください。
高次脳機能障害による第5級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
1 後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
後遺障害が認定されると、後遺障害が残ったことの精神的苦痛を賠償するための「後遺障害慰謝料」と、後遺障害が残らなければ得られたはずの利益を賠償するための「後遺障害逸失利益」が認定されることが多いです。
以下では、高次脳機能障害が残り第5級の認定を受けた場合を想定し、それぞれの賠償額の相場を、解説いたします。
2 後遺障害慰謝料
⑴ 自賠責基準
高次脳機能障害において第5級が認定された場合、自賠責基準の後遺障害慰謝料は、618万円(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)になります。
これは自賠責保険という、被害者に最低限度の補償を行うことを目的としている機関が定めた金額になりますので、618万円という数字もあくまで最低限度の補償と言えます。
しかし、加害者側の保険会社は、被害者が弁護士に依頼していない案件であれば、自賠責基準で示談金額を提案することも多くあります。
示談が成立した場合には、基本的には示談金額を争うことができなくなりますので、相手方保険会社から示談金額の提案を受けた際は、内容に合意される前に交通事故に詳しい弁護士に相談することが大切です。
⑵ 弁護士基準・裁判基準
高次脳機能障害で第5級が認定された場合、弁護士基準・裁判基準を元に慰謝料を計算すると、1400万円が目安になります。
もちろん、事案の内容等によって金額は変わる可能性がありますので、ご自身の場合の慰謝料の目安を知りたいという方は一度弁護士にご相談ください。
例えば、高次脳機能障害で後遺障害第5級の認定を受けた男性の被害者について、顕著な認知障害や人格変化が生じ、付添、監視、声かけが必要になったことなどを考慮して、後遺障害慰謝料として1500万円を認めたものがあります(名古屋地判平成19年12月7日)。
3 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算することが多いです。
例えば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、事故前年度の給与額が800万円の給与所得者、後遺障害等級第5級、症状固定時の年齢45歳の方の場合、一般的には、800万円×79%(後遺障害等級第5級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間22年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢45歳)に対応するライプニッツ係数15.937=1億0072万1840円になります。
4 少しでもお悩みの方は弁護士にご相談ください
高次脳機能障害が残ってしまった場合、このように複雑な計算を経て損害賠償額が算出されます。
ご自身またはご家族の方等が事故による高次脳機能障害を抱えてしまわれた場合には、弁護士にご相談いただき適切な損害賠償金額の獲得に向けてのサポートを受けられることをおすすめいたします。
高次脳機能障害による第1級の後遺障害認定を受けた場合の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益
1 後遺障害慰謝料
⑴ 相場
弁護士基準での後遺障害第1級の後遺障害慰謝料の目安は2800万円になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、後遺障害の内容や程度等によって、上記目安金額とは異なることがあります。)。
これに対して、高次脳機能障害における第1級の自賠責基準の後遺障害慰謝料は、1650万円(自動車損害賠償保障法施行令別表第1)になります(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
基準によって金額が大きく異なりますが、任意保険会社が示談金を提案する際に、自賠責基準で提案することがありますので注意が必要です。
⑵ 裁判例
たとえば、高次脳機能障害で後遺障害第1級の認定を受けた女性の被害者について、被害者本人分の後遺障害慰謝料として2800万円を認めたものがあります(鹿児島地判平成28年12月6日)。
2 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、定期金賠償でないときには、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算することが多いです。
たとえば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、事故前年度の給与額が700万円の給与所得者、後遺障害等級第1級、症状固定時の年齢42歳の方の場合、一般的には、700万円×100%(後遺障害等級第1級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間25年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢42歳)に対応するライプニッツ係数17.4131(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、基本的に、25年に対応するライプニッツ係数は14.0939になります。)=1億2189万1700円になります(事案の内容によって金額が変わる場合はあります)。
3 高次脳機能障害の相談は
高次脳機能障害の後遺障害等級認定申請は、意識障害の有無・その程度、脳損傷に関する画像所見の有無、被害者本人の症状、などを考慮して判断されます。
事故当初に適切な証拠を取得しているか否か、本人の症状を証明する日常生活状況報告のちょっとした記載内容の違いなどで等級が変わってしまうこともあります。
当法人では、後遺障害等級認定申請の審査を行う損害保険料率算出機構に勤めていた元職員と高次脳機能障害を得意とする弁護士がサポートいたしますので、お任せください。
給与所得者における高次脳機能障害の注意点
1 給与所得者における高次脳機能障害の注意点
⑴ 賞与減額分も請求できる
高次脳機能障害になった場合には、長期入院したり退院後も症状が重かったりして、復職まで長期間休職せざるを得ない場合があります。
この場合に、休業損害証明書を勤務先に作成してもらい、休業損害を請求するのが通常ですが、賞与に関しても減額されてしまうことが多いため、賞与減額分を賠償請求したいと考える方が多いです。
このようなとき、賞与減額証明書を作成して、賞与減額の根拠資料を添付して請求することで、賞与減額分の損害が認定される場合があります。
その際、賞与は、勤務実績や景気など様々な要素によって決定されることがあるため、休業と賞与減額との間の因果関係を証明することが重要です。
そのため、勤務日に応じて賞与の金額が決まる規定のある就業規則であれば、その就業規則を根拠資料として提出することが大切になります。
また、根拠となる資料が社外秘で出せない場合であれば、勤務先に、それに代わる証明書などを提出してもらうことが考えられます。
⑵ 減収がない場合
減収がない場合には、後遺障害逸失利益が認定されないことがあります。
もっとも、減収がないときであっても、職場で同僚や上司の手助けがあってやっと仕事をこなしているような場合や、事故前とは違う部署に配置転換されてやっと仕事をこなしている場合など様々なケースがあり得ます。
このような場合には、将来の昇給可能性などを考慮して後遺障害逸失利益が認定されることがあります。
後遺障害逸失利益が認定されるためには、職場や同僚の話を証拠化することや勤務先から仕事内容の変化を証明できる書類を取得すること、部署による昇級の違いを証明できる書類を取得することが大切になります。
2 給与所得者の高次脳機能障害のご相談
高次脳機能障害は、非常に難解な分野であり、適切に対応するためには多くの専門的知識が必要になります。
当法人では、高次脳機能障害などの後遺障害案件についても多くの案件を担当しています。
交通事故案件を得意とする弁護士が在籍しておりますので、高次脳機能障害でお悩みの給与所得者の方は、お気軽に当法人にご相談ください。
主婦における高次脳機能障害の注意点
1 主婦における高次脳機能障害の注意点
主婦の方が高次脳機能障害になった場合は、主に①事故前と事故後の変化について証拠を残しておくこと、②主婦の休業損害、③主婦の後遺障害逸失利益、について注意する必要があります。
2 事故前と事故後の変化について証拠を残しておくこと
主婦の方は、給与所得者の方と比べて、事故前にできていたことの客観的証拠が乏しい傾向にあります。
例えば、事故前は計画的に家事をこなしていた主婦が、事故による高次脳機能障害の影響で、計画を立てることが難しくなり、家事をスムーズにこなすことができなくなった場合、交通事故に遭う前は計画的に家事をこなしていたという客観的証拠は乏しいことが多いです。
そのため、事故直後から、事故前と事故後の変化について証拠を残しておくことがより大切になります。
具体的には、事故前にはなかった言動を身近にいる方に記録してもらうこと、及び、主治医や看護師に気付いたことを細かく伝え、記録に残してもらうことが考えられます。
3 主婦の休業損害
ご家族など自分以外の方のために家事に従事する主婦が、事故によって家事ができなくなった場合に、主婦の休業損害が認められることがあります。
基本的には、女性の学歴計全年齢の平均賃金を基準にして日額を算出するため、日額約1万円が相場になりますが、保険会社は、自賠責基準である日額6100円(令和2年3月31日以前の事故の場合には日額5700円)で示談金を提示することが多いです。
そのため、保険会社から示談金の提示があった場合であっても、交通事故に詳しい弁護士に一度示談金を見てもらうと安心です。
4 主婦の後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、一時金賠償の場合、一般的には、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
⑴ 基礎収入
主婦の場合には女性の学歴計全年齢の平均賃金を参考にして基礎収入を計算することが多いです。
⑵ 労働能力喪失率
労働能力喪失率は、基本的には、後遺障害等級によって異なります。
1級~3級は100%、4級は92%、5級は79%、6級は67%、7級は56%、8級は45%、9級は35%、10級は27%、11級は20%、12級は14%、13級は9%、14級は5%になります。
⑶ 労働能力喪失期間
基本的には、症状固定時の年齢から起算して67歳までの期間が労働能力喪失期間になります。
もっとも、症状固定時の年齢から起算して67歳までの期間が平均余命の半分より短くなる場合には、平均余命の半分を労働能力喪失期間にすることがあります。
5 高次脳機能障害にお悩みの主婦の方は
当法人では、高次脳機能障害を含む事故案件を得意とする弁護士が多数在籍しております。
高次脳機能障害でお悩みの主婦の方は、お気軽に、当法人にご相談ください。
高齢者における高次脳機能障害の注意点
1 高齢者における高次脳機能障害の注意点
高齢者の高次脳機能障害では、特に注意すべき点があります。
⑴ 認知症と誤解されることがある
交通事故により高齢者が高次脳機能障害になった場合、認知症と誤解され、高次脳機能障害が見逃されてしまうことがあります。
ア ご家族の方の注意点
特に、事故前に認知症になっていた高齢者の方が交通事故に遭い、認知症と同様の症状が進んだ場合、事故前に生じていた認知症の影響だと考えてしまうことがあります。
例えば、事故前から物忘れがあった方が事故後物忘れが激しくなった、事故前から意志疎通が上手くいかないことがあった方が事故後より意志疎通が困難になった、などがあります。
もちろん、事故前の認知症の影響がある可能性はありますが、事故前にはなかった症状や事故後に大きくなった症状については、交通事故による高次脳機能障害の症状である可能性があります。
ご家族の方は、被害者の様子を注意深く観察し、事故前の症状と事故後の症状を細かく把握しておくことが大切になります。
イ 主治医に症状を把握してもらう
主治医は、事故前の被害者の症状を知らないことが多いです。
そのため、適切に症状を伝えなければ、主治医が高次脳機能障害を見逃す可能性があります。
ご家族の方としては、事故前と事故後で比較して被害者の行動などで異なることがあれば、細かく主治医に伝えることが大切です。
特に、性格変化は主治医では判断が困難であることが多いので、しっかりと伝えることをおすすめします。
⑵ 逸失利益が認められないことがある
高次脳機能障害の後遺障害が認定された場合であっても、減収がない場合には、後遺障害逸失利益(後遺障害がなければ得られたであろう利益)が認められないことがあります。
例えば、事故前に年金を受給しており、特に働いておらず、今後働く予定もなかった場合であれば、後遺障害逸失利益が認められない可能性が高いです。
⑶ 保険会社が提案する示談金が相場より低額であることがある
保険会社は、自賠責基準や任意保険基準といった低額な賠償金の基準を用いて賠償金を提案することがあります。
賠償金に関してお悩みの場合には、ご自身で判断せずに一度交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
2 相談はできる限り早い段階がおすすめ
早い段階から適切な対応を行ったり証拠を残しておいたりしないと、後々、手遅れになってしまう可能性があります。
高次脳機能障害でお悩みの方は、できる限りお早めに弁護士に相談することをおすすめします。
高次脳機能障害の後遺障害等級認定の申請について
1 申請の方法
自賠責保険会社に対する後遺障害等級認定申請には二つの方法があります。
一つは、任意保険会社経由で自賠責保険会社に対する後遺障害等級認定申請を行う事前認定(加害者請求)の方法です。
もう一つは、被害者または弁護士などの代理人が、直接、自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定申請を行う被害者請求の方法です。
2 被害者請求で行った方が良い
⑴ 高次脳機能障害の後遺障害等級
高次脳機能障害の後遺障害等級には、以下のとおり、その症状の程度等に応じて、1級、2級、3級、5級、7級、9級、があります。
- ア 1級1号
-
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- イ 2級1号
-
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- ウ 3級3号
-
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- エ 5級2号
-
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- オ 7級4号
-
神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- カ 9級10号
-
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
⑵ 症状に関する証拠が重要
高次脳機能障害の後遺障害等級認定においては、被害者の症状等の証拠になる日常生活状況報告(被害者以外の方が被害者の日常生活動作などを記載する書面)や神経系統の障害に関する医学的意見(主治医が被害者の症状等について記載する書面)の記載内容が等級の程度に大きな影響を与えます。
また、症状の証拠になるカルテ等を添付する場合には、その内容も等級の程度に大きな影響を与えます。
⑶ 適切な後遺障害等級を受けるために
前記のとおり、高次脳機能障害の後遺障害等級認定においては、その症状に関する証拠が重要です。
事前認定(加害者請求)の場合には、被害者の症状に関して現実よりも軽い記載がある場合に、その記載を修正することが可能であっても、任意保険会社がそのまま後遺障害等級認定申請を行うことがあります。
これにより、本来得られるべき適正な等級が認定されないことも少なくありません。
これに対して、弁護士を通じて被害者請求を行う場合には、現実よりも軽い症状の記載がある場合に、その記載を修正することが可能であれば、適宜、後遺障害等級認定申請前に修正を依頼することができます。
そのため、現実に即した適切な後遺障害等級認定を受けるためには、被害者請求で行うことをおすすめします。
3 弁護士法人心にお任せください
弁護士法人心には、高次脳機能障害などを含む後遺障害等級認定の審査を行う損害保険料率算出機構に長年勤めていた者が在籍しております。
後遺障害等級認定申請を得意とする弁護士も多数在籍しておりますので、高次脳機能障害でお悩みの方は弁護士法人心にお任せください。
高次脳機能障害の慰謝料
1 高次脳機能障害の慰謝料の種類
高次脳機能障害の慰謝料としては、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料(後遺障害が認定された場合)があります(その他の賠償項目として、休業損害や後遺障害逸失利益などがあります)。
入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について、以下でご説明いたします。
2 高次脳機能障害の入通院慰謝料
⑴ 入院慰謝料
後遺障害の認定の有無にかかわらず、入院をしていた期間に応じて支払われるのが入院慰謝料です。
交通事故における裁判基準の慰謝料はいわゆる赤い本(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準)の基準によって算定を行うのが通常です。
入院慰謝料は入院期間によって決まりますが、例えば、入院1か月は53万円、入院3か月は145万円、入院6か月は244万円、が目安とされています。
⑵ 通院慰謝料
また、裁判基準の通院慰謝料は通院期間によって決まりますが、(通院が長期にわたる場合には、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがあります。)、1か月は28万円、3か月は73万円、6か月は116万円、が目安とされています。
もっとも、弁護士が介入していない件では、相手方保険会社はこれよりも低い基準で慰謝料を提示するのが通常です。
3 高次脳機能障害の後遺障害慰謝料
高次脳機能障害の後遺障害等級は、1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、14級、があります(併合加重がされると他の等級が認定されることもあります。)。
高次脳機能障害における裁判基準の後遺障害慰謝料については同じく赤い本に定めがあり、等級によって後遺障害慰謝料が決まります。
例えば、1級は2800万円、2級は2370万円、3級は1990万円、5級は1400万円、7級は1000万円、9級は690万円、12級は290万円、14級は110万円、が目安とされています。
このように等級が1つないし2つ異なることで、後遺障害慰謝料の金額が大きく変わってきます。
ですので、しっかりと後遺障害慰謝料を獲得したい場合には、適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要です。
4 高次脳機能障害の慰謝料は弁護士に相談
保険会社は、相場より低い賠償金を提案することが少なくありません。
特に高次脳機能障害の慰謝料の場合には、数百万円~数千万円単位で相場より低い金額が提案されるケースもあります。
一般的には、示談成立後は、弁護士が介入しても慰謝料の金額を変更することはできません。
高次脳機能障害の慰謝料でお悩みの方は、示談に合意する前に、一度当法人にご相談ください。
また、これから後遺障害の申請をされる方は、上述したように認定される等級によって慰謝料は大きく異なりますので、後遺障害の申請前の早いタイミングで弁護士法人心までご相談いただくことをおすすめいたします。
高次脳機能障害の逸失利益について
1 高次脳機能障害と後遺障害等級
交通事故による高次脳機能障害は、症状によって、後遺障害等級
1級、2級、3級、5級、7級、9級、が認定されることがあり、場合によっては12級、14級が認定されることもあります。
後遺障害が認定された場合には、基本的には、後遺障害逸失利益(後遺障害がなければ得られたであろう利益)が認められます。
後遺障害逸失利益の金額は、一般的には、等級の程度によって大きく異なります。
2 後遺障害逸失利益の計算式
後遺障害逸失利益は、一般的には、事故前の基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(またはホフマン係数)で計算します。
例えば、令和2年4月1日より後に発生した事故で、前年度の収入が700万円のサラリーマンの方で、症状固定時の年齢が50歳、後遺障害7級が認定された場合には、一般的には、700万円×56%(後遺障害7級の労働能力喪失率)×就労可能年数17年(67歳-50歳)に対応するライプニッツ係数13.1661(法定利率を年3%で計算した場合)=5161万1112円が後遺障害逸失利益になります。
ただし、事案の内容等によって金額が異なる場合があります。
なお、令和2年4月1日より前に生じた事故の場合にはライプニッツ係数やホフマン係数が異なることがあります。
3 高次脳機能障害による後遺障害等級と労働能力喪失率
前記のとおり、高次脳機能障害の後遺障害においては、1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、14級、の等級が認定されることがあります。
労働能力喪失率は、一般的には、1~3級が100%、5級が79%、7級が56%、9級が35%、12級が14%、14級が5%とされています。
例えば、前記2の事案で、後遺障害等級が9級であった場合、700万円×35%(後遺障害9級の労働能力喪失率)×就労可能年数17年(67歳-50歳)に対応するライプニッツ係数13.1661=3225万6945円となり、7級が認定された場合と比べると1935万4167円もの差が生じることになります。
このように、後遺障害逸失利益は認定される等級によって大きく変わってくるため、高次脳機能障害による後遺障害の申請を行う場合には、適切な等級が認定されるように必要な資料を準備することが重要になります。
4 高次脳機能障害でお悩みの方は
高次脳機能障害による後遺障害の申請にあたっては、事故直後の状況、通院状況、検査結果等が重要となり、事故直後から、適切に通院し、適切な治療や検査を受けることが大切になります。
そのため、交通事故によって高次脳機能障害になった場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
当法人では、後遺障害等級認定申請の審査機関である損害保険料率算出機構に長年勤めていた者も在籍しており、高次脳機能障害に関する後遺障害等級認定申請のサポート体制が整っています。
高次脳機能障害でお悩みの方は、当法人にお気軽にご相談ください。
高次脳機能障害について弁護士に相談するタイミング
1 高次脳機能障害の症状
歩行者や自転車に乗っている方が交通事故に遭った際、自動車に衝突された衝撃で転倒するなどして頭を強く打ち、脳が損傷を受けることがあります。
そして、その影響で事故前と比較して記憶力が減退したり、会話がかみ合わなくなったり、性格が変わってしまったりすることがあります。
高次脳機能障害は、このような症状が出ることが特徴的です。
2 高次脳機能障害の後遺障害等級
高次脳機能障害が残ったとしても、後遺障害として等級認定がなされなければ、慰謝料等の対象にはなりませんので、後遺障害として認定を受けることが重要になります。
認定される等級は、被害者の方の症状の重さによって変わるのですが、被害者の方の事故前の生活状況を見ていないため、医師もその症状の変化に気付かない場合があります。
そのため、適切な等級認定を受けるためには、ご家族の方が被害者の方の症状の細かい変化に気付き、それを医師に伝えて、適切な検査等を受けることが必要になってきます。
また、後遺障害申請をする際には、ご家族の方が日常生活状況報告を作成することになるのですが、この書類も後遺障害の認定機関が重要視するものになりますので、細かく被害者の方の症状の変化に注意して作成することが必要です。
3 後遺障害等級の認定を受けるために必要なこと
交通事故による高次脳機能障害が後遺障害として認定されるには、少なくとも次のいずれかの症状が必要であると解されています。
1つ目は、脳挫傷やびまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫等のような脳に関する重度の傷病名が確定診断されていることです。
2つ目は、上記の症状が画像所見(特にMRIとCT)で確認できることです。
3つ目は、頭部外傷後の意識障害が6時間以上続いていたこと、または健忘症あるいは軽度意識障害が1週間以上続いていたことです。
高次脳機能障害の後遺障害の認定申請時には、これらのことを裏付ける資料を提出する必要があるため、事故直後から必要な検査を受けるとともに、適切な記録を残しておくことが重要となります。
4 高次脳機能障害のご相談はお早めに
高次脳機能障害の方の症状は日々変化する可能性があり、症状の変化について細かいところまで気付くことが適切な等級認定を受けるために必要となります。
自動車事故から時間が経ってしまうと、事故直後からの症状の変化について思い出せなくなったり、適切な時期に必要な検査を受けていなかったりなど、適切な等級認定を受けることができなくなってしまう可能性もあります。
そのため、できるだけ早い段階から弁護士に相談し、入通院中に注意すべきポイントについてのアドバイスを受けておくことが重要です。
当法人では、後遺障害チームを中心に、高次脳機能障害に関する研修を実施するなど、日々研鑽をつんでいます。
高次脳機能障害については、お早めに当法人までご相談ください。
高次脳機能障害に関して弁護士を選ぶ際のポイント
1 弁護士を選ぶ際のポイントについて
高次脳機能障害は、症状が生じていても、外見上は目立たず、周囲から理解されにくいため、医師、被害者本人、被害者の家族によっても見過ごされやすい障害です。
そのため、脳外傷を負った被害者やご家族は、早めに、後遺障害に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
精通しているかの判断としては、高次脳機能障害の後遺障害等級認定のポイントを意識して聞き取りがなされているか、通院の際の具体的なアドバイスがあるか、今後の流れについて具体的な説明があるかなどを基準にするとよいかと思います。
後遺障害等級認定のポイントについては、以下でご説明いたします。
2 高次脳機能障害の後遺障害等級認定のポイント
高次脳機能障害の後遺障害等級が認定されるためには、次の4つのポイントが重要です。
① 交通事故によって脳損傷を負ったことが分かる確定診断があること
脳が損傷を受ける原因は、脳卒中、脳梗塞、アルツハイマー病等さまざまですが、自賠責保険における後遺障害の対象となる高次脳機能障害は、交通事故によって脳に器質的損傷を負ったことが条件となります。
そのため、脳挫傷、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血種、急性硬膜下血種、外傷性くも膜下出血など、交通事故による脳外傷であることが分かる医師の確定診断があることが重要です。
② ①の診断について画像所見があること
頭部のCT検査やMRI検査の結果、①の診断を裏付ける画像所見があることが重要です。
③ 意識障害があること
頭部外傷後の意識障害(開眼・応答しない昏睡状態)が6時間以上続いたり、健忘症や軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いたことも、高次脳機能障害が疑われる重要な症状と考えられています。
④ 高次脳機能障害の症状と一致する症状が存在すること
高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害が認められ、仕事や日常生活に支障をきたす障害をいい、例えば、次のような症状が生じるといわれています。
ア 記憶障害
- ・物の置き場所を忘れる。
- ・新しいことを覚えられない。
イ 注意障害
- ・注意力が持続せず、ミスが多い。
- ・気が散りやすく、作業を長く続けられない。
ウ 遂行機能障害
- ・行動を計画して実行することができない。
- ・複数のことを同時に処理することができない。
- ・約束の時間に間に合わない。
エ 社会的行動障害
- ・すぐに怒ったり、興奮する。
- ・思いどおりにならないと、大声を出したり、暴力を振るう。
- ・自己中心的になる。
3 弁護士法人心の弁護士にご相談ください
当法人は、交通事故担当チームが、高次脳機能障害を含む交通事故案件を集中的に扱っており、豊富な経験とノウハウを蓄積しています。
また、当法人の交通事故担当チームには、後遺障害の等級認定機関である損害保険料率算出機構に所属して高次脳機能障害を含む多数の後遺障害の認定実務に携わっていたスタッフも在籍しています。
そのため、当法人の弁護士は、損害保険料率算出機構内部の運用にも精通しています。
高次脳機能障害が疑われる被害者の方やそのご家族は、当法人の弁護士にご相談ください。
当法人が高次脳機能障害を得意とする理由
1 高次脳機能障害の等級認定のための要件
高次脳機能障害とは、自動車事故による脳損傷が原因で、意思疎通能力や社会行動能力などに障害を引き起こすことをいいます。
自賠責保険が高次脳機能障害を後遺障害として等級認定を行う場合、まず、①脳挫傷などの傷病で確定診断がされていること、②脳損傷の画像所見が得られていること、③頭部外傷後の意識障害等があることのうち、少なくともいずれかを満たしている必要があると解されています。
その上で、高次脳機能障害の程度を判定するために、㋐意思疎通能力、㋑問題解決能力、㋒遂行能力及び㋓社会行動能力といった4つの分野の能力の低下の程度を調査します。
そして、それぞれの能力の低下によって、日常生活や就労にどの程度の支障が生じているかをふまえて、後遺障害の等級認定を行うことになります。
2 ご家族等の準備
高次脳機能障害の画像所見では、MRI検査の結果等が必要となります。
そのためご家族等は、医師と相談して、被害者の方に適切にこれらの検査を受けさせることが大切です。
また、社会行動能力の程度を計る際には、あらかじめご家族等に作成していただく、「日常生活報告」も参考にします。
これには、日常生活における事故前後の変化や、現在支障が生じていることなどを記入します。
そのため、事故直後から、被害者の方の様子を注意深く観察して、些細な変化でもメモ等の記録に残しておくことが重要になります。
しかし、ご家族等が、被害者の方の事故前後の変化を見過ごしてしまったり、変化に気がついても、高次脳機能障害の問題とは思わず、記録に残していなかったりすることも珍しくないのが現状です。
3 弁護士の早期関与
上記2の例以外にも、病院選び、医師との接し方、相手方保険会社への対応など知っておくべき事柄はたくさんあります。
弁護士に早期に相談することによって、各事案において、どのような手続きがあり、どのような備えをしておくべきなのかを把握し、余裕をもって対応することができます。
このように、高次脳機能障害について適切な後遺障害等級認定の獲得を目指すためには、早期に弁護士に相談してアドバイスを受ける必要性は高いといえます。
特に、高次脳機能障害について後遺障害申請を行う場合、治療やリハビリ期間を含めると、事故後1~2年後に申請手続きを行うことも珍しくありません。
後遺障害申請段階ではじめて弁護士に相談した場合、必要な検査や手続きが行われていなくて適切な後遺障害等級が認定されなかったというケースもあるので、高次脳機能障害の可能背がある場合には、できるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
4 当法人が高次脳機能障害を得意とする理由
高次脳機能障害は特に専門性が高く、自動車事故案件により精通した弁護士が対応することが望ましいといえます。
当法人では、後遺障害等級認定機関である、損害保険料率算出機構の元職員と弁護士らで自動車事故を集中的に扱うチームを作り、対応しております。
このチームの各弁護士は、高次脳機能障害の事案も数多く扱っております。
そして、それにより培ってきたノウハウや、日々の研鑽により、ハイクオリティーな事件処理が可能となっております。
また当法人は、ご来所いただきやすいように、アクセスの良い場所に各事務所を設けております。
高次脳機能障害でお困りの場合には、お気軽に当法人までご連絡ください。