「東海地方にお住まいの方」向けのお役立ち情報
名古屋で高次脳機能障害について弁護士をお探しの方へ
1 名古屋で高次脳機能障害でお悩みの方へ
⑴ 名古屋駅から徒歩2分の場所に事務所があります
弁護士法人心(本部)と、弁護士法人心 名古屋法律事務所は名古屋駅から徒歩2分という便利な場所にあります。
名古屋駅は、JR、近鉄、名鉄、地下鉄が通っているだけでなく、バスの発着も多いため、公共交通機関でのアクセスが良好です。
名古屋市内で弁護士をお探しの方や、近隣都市にお住まいの方にとってもお越しいただきやすい事務所かと思います。
⑵ 栄にも事務所があります
当法人は、松坂屋名古屋店内にも事務所を設けております。
栄や矢場町の周辺にお勤めの方や、名城線をご利用の方、栄の方がアクセスしやすいという方は、弁護士法人心 栄法律事務所をご利用ください。
⑶ 電話・テレビ電話相談も承っております
高次脳機能障害について相談できる弁護士を探している方の中には、外出が難しいという方や、まずは電話で相談してみたいという方もいらっしゃるかと思います。
当法人では、少しでも多くの方に気軽にご利用いただけるように、交通事故の電話・テレビ電話相談に対応しております。
高次脳機能障害のご相談もお電話でしていただくことができます。
来所でのご相談も、電話・テレビ電話相談も、フリーダイヤルまたはメールフォームから受付を承っておりますので、まずはこちらにお問い合わせください。
2 高次脳機能障害について
高次脳機能障害は、交通事故などで脳にダメージを負ったことが原因で脳の機能に様々な障害が生じることを指します。
具体的には、記憶力の低下、集中力の低下、社会的に問題のある行動を起こすようになるなど、様々な神経心理学的障害が生じることを指します。
運動機能や生命維持機能に異常があるわけではなく、一見、外から見る限りは特に異常がないことが多いです。
しかし、実は感情をコントロールしたり、記憶力、集中力、文章を書く能力など、理性的に行動する能力に障害が生じているというものです。
高次脳機能障害は、外見から判別することが難しいため、交通事故後、外傷を伴うケガが回復したのでよくなったと思ってしまい、高次脳機能障害を見逃してしまうというようなケースもあります。
事故前と比べて記憶力が低下したり、ミスが多くなったり、その他にも何か違和感や変化等が生じた場合は、交通事故による高次脳機能障害を疑い、医師等に相談することが大切です。
3 高次脳機能障害の後遺障害申請
⑴ 適切な等級認定を受けることが大切
後遺障害等級数は、損害賠償金額に大きく関係してきます。
例えば、交通事故被害に遭った際に請求できる損害項目の中にある後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じた慰謝料が支払われます。
等級が変われば賠償金額が大きく変わるということも珍しくありません。
そのため、高次脳機能障害が残ってしまった場合は、適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要です。
⑵ 弁護士にご相談ください
しかし、高次脳機能障害は一見して異常が見当たらないため、本当は高次脳機能障害があるにもかかわらず、そもそも後遺障害等級がつかない(非該当)とされる場合もあります。
高次脳機能障害が残った場合に適切な後遺障害の認定が受けられないのは、被害者の方にとって極めて不利益になります。
そこで、後遺障害の申請の段階から、交通事故の高次脳機能障害に対応している弁護士による適切なサポートを受けて、適正な後遺障害認定の獲得を目指すことが大切になってきます。
後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の計算に関係してきますので、後悔の残る結果となるのを防ぐためにも、当法人にご相談ください。
4 当法人にお任せください
⑴ 交通事故を得意としています
当法人には交通事故に関する問題解決を得意としている弁護士が多数在籍しており、高次脳機能障害などの重度な後遺障害案件のご相談にも対応させていただきます。
日頃から交通事故案件を集中的に扱っている弁護士が、通院の段階から後遺障害の申請、交通事故の示談交渉までしっかりとサポートさせていただきますので、高次脳機能障害が残り、後遺障害の申請が必要な場合は、当法人にお任せください。
⑵ 弁護士費用特約をご利用いただけます
弁護士に依頼するにあたって、費用の負担を気にされる方もいらっしゃることと思います。
ご契約前に、費用についてしっかりと説明させていただきますし、ご不明点や不安に思う部分がありましたら丁寧に対応させていただきますので、お気軽にお尋ねください。
当法人では、全ての保険会社の弁護士費用特約をご利用いただけますので、交通事故の高次脳機能障害でお悩みの方は、お気軽に当法人にご相談ください。
名古屋駅から弁護士法人心 名古屋法律事務所・弁護士法人心(本部)へのアクセスについて
1 太閤通南口を出てください
⑴ JR線・あおなみ線をご利用の方
当事務所の最寄りの改札は太閤通南口です。
改札を出てまっすぐお進みください。
⑵ JR線・あおなみ線以外をご利用の方
まずは名古屋駅の銀時計に向かっていただき、銀時計に着きましたら、ギフトキオスクや名古屋驛麺通りを向いてください。
名古屋驛麺通りの横の道をまっすぐ進んでいただきますと、名古屋うまいもん通り太閤通口の入口が見えてきます。
入口の手前で右を向いていただきますと、太閤通口がありますので、そこから外に出てください。
2 駅の外に出たら横断歩道を渡ってください
正面にカフェ・ド・クリエ駅西店が見える横断歩道がありますので、そちらを渡っていただき、まっすぐお進みください。
3 セブンイレブンが見える交差点を渡ってください
エスカ地下街入口を通り過ぎると、正面にセブンイレブンが見える交差点がありますので、そちらを渡ってください。
4 横断歩道を渡ったら左折してください
セブンイレブンを右手にしてまっすぐ進んでいただきますと、正面にミニミニが見える交差点があります。
5 事務所に到着
⑴ 弁護士法人心 名古屋法律事務所の場合
正面にミニミニが見える交差点を渡ってください。
ミニミニが入っているロータスビルの4階に当事務所があります。
⑵ 弁護士法人心(本部)の場合
交差点を渡らず右折してください。
まっすぐ進んでいただきますと、ローソン椿町店が見えます。
その手前にある「West Point1413」と書かれた緑色の入口が、当法人があるビルの入口です。
エレベーターで7階にお越しください。
矢場町駅から弁護士法人心 栄法律事務所へのアクセスについて
1 1・5・6番出口側の改札を出てください
当事務所は松坂屋店内にあります。
矢場町駅から松坂屋にお越しいただく際は、1・5・6番出口側が最寄りの改札となります。
2 松坂屋方面の通路に入ってください
改札を出た右手側にMatsuzakayaと書かれた看板がありますので、そちらに進んでください。
3 松坂屋本館の入口に入ってください
道なりに進んでいくと、左側に松坂屋名古屋店本館の入口がありますので、そちらから入ってください。
当事務所は7階にあります。
栄駅から弁護士法人心 栄法律事務所へのアクセスについて
1 中改札口を出てください
電車を降りたら、中改札口を出てください。
2 16番出口から出てください
当事務所がある松坂屋は、16番出口が最寄り出口となります。
「出口16」と書かれた黄色の表示がある階段を上り、地上に出てください。
3 名古屋栄三越を右手にまっすぐ進んでください
出口を出たら右手に名古屋栄三越が見えます。
そちらを右手にまっすぐ進んでください。
4 松坂屋名古屋店本館に着きます
横断歩道を3つ渡りますと、松坂屋名古屋店本館に着きます。
こちらの7階に当事務所があります。
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名古屋にお住まいの方へ
高次脳機能障害のお悩みは当法人にお任せください。名古屋駅近くに事務所がありますので、ご相談の際もお気軽にお越しいただけます。
脳外傷による高次脳機能障害の認定について重視されるポイント~交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査結果の存在~
1 脳外傷による高次脳機能障害の認定における画像検査の重要性
交通事故の脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定においては、交通事故によって加わった外力によって脳に器質的損傷が生じているか否かという点が非常に重要なポイントとなります。
そして、脳に器質的損傷が生じているか否かを確認する方法としては、画像所見が用いられています。
2 どんな画像検査を受ければ良いのか?
現在、自賠責保険高次脳機能障害実務審査会での実務的な処理は、MRI(T2、T2*、DWI、FLAIRなど)やCTによって確認される異常所見をもって脳の器質的損傷の有無を判断するという取り扱いとなっています。
したがって、まずは受傷直後に病院にてCTやMRI撮影を行ってもらうことが非常に重要となります(出血や脳挫傷の存在等、形態的異常を撮影するのにはMRIが優れており、他方、事故直後の出血量等の推移を確認するのには迅速性の点でCTが優れているとされています。)。
これらの画像検査によって継時的な観察をした結果、脳出血(硬膜下血腫、くも膜下出血等の存在とその量の増大)像や脳挫傷痕が確認されれば、交通外傷によって脳の器質的損傷が生じたと認定されやすくなります。
近時は、MRIやCT以外にも、脳外傷の発生を確認するための方法として、SPECT(単光子放射体断層CT)やPET(陽電子放射体断層撮影)による画像検査が行われるケースも出てきています。
しかし、自賠責保険の実務では、現在も、MRIやCTによって確認される異常所見をもって脳の器質的損傷の有無を判断するという取り扱いが継続されていることに注意が必要です。
3 びまん性軸索損傷に関する運用
これまでにご紹介したCTやMRIは、脳の組織状態を撮影する検査方法なのですが、これらの方法では脳の神経線維そのものを撮影することはできないため、びまん性軸索損傷のように、神経線維の断線が疑われる場合の取り扱いが問題となります。
この点について、自賠責保険における後遺障害認定実務においては、事故後ある程度経過した時点で、CTやMRIにより、脳室の拡大や脳全体の萎縮が確認されれば、脳の神経線維(軸索)の損傷を合理的に疑うことが出来るとされており、このような場合は、出血や脳挫傷の痕跡が乏しかったとしても、びまん性軸索損傷の発症を肯定できるものとされています。
高次脳機能障害に強い弁護士の探し方
1 高次脳機能障害の難しさ
交通事故に遭い、治療を続けてきたものの、医師から「高次脳機能障害が残る」と言われてしまった場合、適切な後遺障害等級の認定を受けることがとても大切になってきます。
後遺障害等級は、損害賠償額を決める中で極めて重要な要素ですので、適切な損害賠償を受けるためには、適切な後遺障害等級の認定を受けることが不可欠です。
不当に軽い等級が認定されることがあれば、適切な慰謝料や逸失利益等の賠償金も得ることが難しくなります。
しかしながら、高次脳機能障害は、手足を失った、歩いたり走ったりできなくなった等の目に見える症状とは異なり、記憶力や理解力、集中力が低下する、周囲との人間関係に支障が出る等、外から見るだけではわかりにくい症状です。
そこで、適切な後遺障害等級の認定や適切な賠償を受けるためには、必要かつ十分な資料を揃え、ポイントを押さえた後遺障害の申請が必要となります。
高次脳機能障害の後遺障害申請を弁護士に依頼したとしても、交通事故に精通しているか、更には、「高次脳機能障害」に精通しているかで、認定される等級や賠償額に差が出てくる可能性があります。
そこで、高次脳機能障害に強い弁護士に依頼することが重要となります。
以下で、弁護士の探し方についてご説明いたします。
2 ホームページを検索して探す
弁護士事務所は多くありますが、その中で交通事故に強く、中でも高次脳機能障害に強い弁護士事務所となると、見極めることは難しいかもしれません
このような場合は、弁護士事務所のホームページに注目し、高次脳機能障害について多数の分量やページを割いて解説しているのであれば、高次脳機能障害の解決実績も多いと思われます。
そして、ホームページである程度弁護士事務所を絞ることができたら、無料相談を行っている事務所であれば、まずは無料相談にお申し込みいただくことをおすすめします。
無料相談をしてみて、弁護士の説明を聞いてみて納得がいけば、その弁護士に依頼するという流れでよいかと思います。
3 弁護士会で行われている交通事故相談を利用する
各地の弁護士会の法律相談センター等で交通事故相談を受けていることもあります。
弁護士会で行われている法律相談は無料であることも多いです。
また、「交通事故相談」という形で相談を受け付けている場合、それなりに交通事故の取扱経験のある弁護士が担当しますので、高次脳機能障害に詳しい弁護士にあたることも期待できます。
4 医療機関で聞いてみる
高次脳機能障害の患者を多数取り扱っている医療機関であれば、後遺障害の申請手続きをとる際に、弁護士と接する機会も多くあります。
そのため、医療機関で、地域の高次脳機能障害の取扱いが多い弁護士を聞いてみるのもよいかもしれません。
医療機関から紹介を受けることまではできなくとも、評判を聞くことくらいはできるかもしれません。
5 当法人にご相談を
上記に挙げた方法の中では、やはりホームページを検索するのが簡便であり、高次脳機能障害を得意とする弁護士を探せる可能性が高いと思われます。
当法人は、当ホームページで高次脳機能障害に関する情報を多数あげているとおり、後遺障害等級の獲得、賠償金額の増額交渉、訴訟等で多数の高次脳機能障害の取り扱い実績があります。
交通事故を得意としている弁護士が相談にのらせていただきますので、名古屋及びその周辺の方で交通事故に遭い高次脳機能障害に強い弁護士をお探しの方は、一度当法人にご相談ください。
子どもに高次脳機能障害が生じた場合の後遺障害等級認定評価
1 子どもの高次脳機能障害の等級認定における問題点
高次脳機能障害の後遺障害等級認定は、一般的に、障害による被害者の生活状況及び就労状況への影響を踏まえて判断されます。
しかし、子どもの場合は、その時点で就労しているとは限りませんので、交通事故被害者の方が子どもの場合における高次脳機能障害の後遺障害等級認定は、学校生活などの現在の集団生活の生活状況から、将来社会に出た場合の就労能力への影響を予測して判断せざるを得ないことが少なくありません。
もっとも、学校における集団生活は、教師や家族による日常生活等についての支援や援助を受けやすい守られた環境となっていることが多いため、社会に出て就労する場合とでは環境が異なるという側面があります。
そのため、学校の集団生活の状況からでは、将来、社会に出た場合の就労能力への影響を的確に把握できない恐れがあります。
この点に、子どもに対する高次脳機能障害の等級認定の難しさが指摘されています。
2 後遺障害等級認定の際の評価資料
裁判例の傾向からしますと、子どもの高次脳機能障害についての後遺障害等級を評価する際の資料としては、集団生活の場において被害者の方がどの程度適応しているか、に関する充実した資料が必要不可欠であると思われます。
例えば、学校の成績表における教師のコメント欄を資料とするケースも散見されるところ、このコメント欄の記載は学校という集団生活における被害者の障害の程度を的確に示すものとして有用です。
もっとも、この場合、作成者である教師が「できることをほめる」という肯定的な配慮をして学校生活上の問題点を客観的に指摘していない可能性もあることから、成績表のみならず、他のさまざまな資料をも併せて提出し、総合的な検討判断が行われることになります。
3 当法人の交通事故相談
当法人には、損害保険会社の元代理人で後遺障害に詳しい弁護士や、後遺障害の審査機関である損害保険料率算出機構に勤めていたスタッフなど、交通事故に詳しい弁護士及びスタッフが多数在籍しております。
交通事故被害者の方のご相談は原則無料となっておりますので、交通事故についての相談はお気軽にご相談ください。
高次脳機能障害において自賠責の認定した等級より重い労働能力喪失率が認められるケース
1 高次脳機能障害と労働能力喪失率
名古屋で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった方やそのご家族から、賠償を受けるうえで労働能力喪失の認定が不十分であるというご相談を受けることがあります。
高次脳機能障害が残り、自賠責保険で後遺障害等級が認定されたけれども、その等級で定められている労働能力喪失率では納得できないので、より高い労働能力喪失率の認定を受けることができないかというご相談です。
結論からいいますと、ケースによっては、より高い労働能力喪失率の認定を受けられる場合もあります。
以下で、詳しく述べます。
2 自賠責保険と労働能力喪失率
自賠責保険においては、後遺障害等級に応じて、次のような労働能力喪失率が設定されています(高次脳機能障害で認定され得る等級のみ挙げます)。
- 1~3級・・・100%
- 5級・・・79%
- 7級・・・56%
- 9級・・・35%
3 裁判で自賠責等級認定よりも高い労働能力喪失率が認められたケース
過去の裁判では、基本的には自賠責保険で認定された等級に対応する労働能力喪失率が認定されることがほとんどです。
もっとも、中には、自賠責保険よりも高い労働能力喪失率を認定した裁判例もあります。
⑴東京地裁平成18年3月2日判決(自保ジャーナル1650号)
このケースでは、25歳の女性、自賠責後遺障害等級は高次脳機能障害5級2号、嗅覚障害12級、醜状障害7級12号の併合3級が認定されました(※併合についてはまた別の記事でご説明いたします)。
このケースでは、嗅覚障害と醜状障害は通常労働能力に影響しないと扱われることが多いため、自賠責基準をそのまま当てはめると、5級79%の労働能力喪失となるはずです。
ところが、この裁判例は、被害者に人格障害があること、易怒性(怒りやすい性格であること)、易興奮性(興奮しやすい性格であること)や、てんかん発作のためアルバイトも対人関係に疲れ退職していることや現時点まで就職できていないこと等を考慮して、92%の労働能力喪失率を認めています。
この裁判例のように、高次脳機能障害の個別の症状の程度や内容、実際の労働の困難性を具体的に立証すれば、自賠責保険の定める後遺障害等級よりも高い労働能力喪失率が認定されることはあり得ます。
⑵名古屋地裁平成18年1月20日判決(交民39巻1号58号)
このケースでは、31歳の女性のプログラマーについて、自賠責後遺障害等級は高次脳機能障害7級4号、右動眼神経麻痺等11級相当、併合6級が認定されました。
このケースでは、自賠責基準をそのまま当てはめると、後遺障害喪失率は6級67%となるはずですが、被害者の記憶力及び記銘力の障害の程度が強いことから、労働能力喪失率を自賠責後遺障害等級6級と5級の中間である75%と認めています。
4 裁判で自賠責等級認定よりも低い労働能力喪失率が認められたケース
他方、裁判で、自賠責で認定された等級よりも低い労働能力喪失率が認定されたケースもあります。
例えば、広島高裁松江支部平成16年11月5日判決(自保ジャーナル1577号)です。
このケースでは、20歳の男性会社員が自賠責において高次脳機能障害3級3号が認定されましたが、この男性が定時制高校に通学・卒業できたこと、一人で外出・買い物ができていることから、就労可能性を否定することはできないとして、後遺障害は5級2号相当とし、労働能力喪失率は79%と認定されました。
自賠責保険では3級が認定されており、自賠責基準をそのまま当てはめれば100%の労働能力喪失が認められるはずでしたが、裁判では実際の生活状況等を考慮し、自賠責が認定した等級よりも低い労働能力喪失率が認定されています。
5 弁護士にご相談を
このように、自賠責保険の認定した後遺障害等級では、労働能力喪失率が納得できない場合には、訴訟を起こす等で、より高い労働能力喪失率の認定を受けることができる場合もあります。
しかし、訴訟等を起こすことで、かえって低い労働能力喪失率を認定されるリスクも無くはありません。
この辺の判断は、被害者やそのご家族が自分でするのは難しいばかりでなく、危険でもあります。
交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった名古屋の方やそのご家族の方で、自賠責保険の認定した後遺障害等級では、労働能力喪失率が納得できない場合、一度弁護士法人心 名古屋法律事務所にご相談ください。
高次脳機能障害の経験豊富な弁護士が、訴訟を起こした場合の見通し等を丁寧にご説明いたします。
高次脳機能障害と後見制度
1 後見制度とは?
交通事故が原因で高次脳機能障害が残ってしまうと、判断能力や記憶力が低下し、自分で財産を管理したり、契約を締結したりすることが難しくなってしまうことがあります。
このように、本人の判断能力などが低下してしまった場合に、本人を保護し、支援する制度の一つとして「後見制度」というものがあります。
後見制度においては、本人の後見人等となった者が、本人の自己決定権を尊重しつつ、本人の権利や利益を擁護するために、広範な裁量と責任をもって活動をしていくことになります。
2 後見制度の種類
後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。
⑴ 法定後見制度
法定後見制度は、民法において定められた後見制度であり、本人の判断能力の程度に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの類型が用意されています(本人の判断能力が小さい順に、「後見」、「保佐」、「補助」となります。)。
各類型に応じて、後見人、保佐人、補助人がそれぞれ就任し、本人の財産管理や契約締結等の支援を行っていくことになります。
後見人、保佐人、補助人は、それぞれ与えられる権限の大きさが異なり、一般的には、後見人が与えられる権限が最も大きく、保佐人、補助人の順に与えられる権限が小さくなっていきます。
また、後見人、保佐人、補助人の活動がちゃんと本人のために行われているかを監督する者として、後見監督人、保佐監督人、補助監督人が選任される場合もあります。
⑵ 任意後見制度
任意後見制度とは、本人の判断能力が不十分な状態となった際に、本人があらかじめ公正証書によって締結をしていた任意後見契約に基づいて、その契約において後見を受任した人物が後見人となり、本人の援助を行っていく制度のことです。
任意後見人を誰にするかということや、任意後見人の権限について、任意後見契約において、柔軟に定めることができるのが、任意後見制度の特徴です。
また、任意後見の場合も、任意後見人の活動を監督する者として、任意後見監督人が選任される場合もあります。
3 ご家族に高次脳機能障害が残ってしまった場合は弁護士にご相談を!
交通事故被害者の方に高次脳機能障害が残ってしまったという場合には、上記の後見制度を活用して被害者の方の保護や支援をしていった方がよい場合が少なくありません。
ご家族が交通事故に遭って高次脳機能障害を負ってしまった場合には、一度、交通事故と後見制度に詳しい弁護士に相談をしてみることをおすすめいたします。
高次脳機能障害で請求しうる損害賠償の内容
1 高次脳機能障害が残った場合に請求できる損賠賠償の内容は?
名古屋で交通事故に遭い、後遺症として高次脳機能障害が残ってしまった被害者の方やその家族の方。
様々な損害を被り、加害者側に請求したいとは考えるけれども、どこまでの範囲で請求してよいものかわからない、また、どの程度の金額を請求してよいのかわからない、そのようなことも多いのではないでしょうか。
今回は、名古屋で高次脳機能障害を含む極めて多数の交通事故案件の取り扱い実績のある弁護士が、高次脳機能障害で請求できる損害賠償の内容をご説明します。
なお、今回は、後遺症逸失利益、後遺症慰謝料等以外の、若干細か目なもの、あるいは少し意外かもしれない、という項目をご説明します。
2 家屋等改造費
高次脳機能障害が残る場合には、体の一部に麻痺が残ったり体が不自由になる等、身体的な障害が残る場合も多くあります。
このような場合、家庭内で、入浴、トイレに困難が生じたり、階段の昇降や、症状が重い場合は歩行等の移動すら困難な場合もあります。
車椅子が必要となるケースもあります。
このような場合、風呂場やトイレ、廊下や階段等に手すりを取り付けたり、昇降リフトやエレベーターの設置が必要となる場合もあります。
被害者の障害の程度や、介護する家族の負担、もともとの住居の構造等からして、当該改造を施すことが必要かつ相当と言えれば、家屋改造費の賠償が認められます。
過去の裁判例では、家屋改造費が認定される場合、それまで居住していた居宅では構造からして改造が困難であるため、障害者用施設を備えた建物を新築するのが相当とし、新築費のうち障害者用使用部分に関係する費用を認めた例や、それまで居住していた家に居住できなくなったため新居を借家したことに伴う増額家賃分を認めた例などもあります。
3 装具費等
高次脳機能障害が残った方には、高次脳機能障害だけではなく、体の麻痺やその他様々な身体的障害が残る場合が多いです。
まず、前述のように、歩行等が困難な場合、被害者が日常生活を送るため、義足、杖、介護用ベッド、車椅子、介護シューズ等の購入が必要となる場合があります。
これらの器具の購入が必要かつ相当であれば、その購入費用は事故との間に相当因果関係が認められます。
他にも、補聴器、入歯、義眼、眼鏡、コンタクトレンズ、意思疎通を図るためのパソコン、盲導犬費用、呼吸ペースメーカーなどの医療器具について認められた裁判例もあります。
4 車両購入費、車両改造費
被害者に歩行が困難で、車椅子を使用する場合、それまで使用していた車両では被害者の乗降が困難となることがあります。
このような場合、被害者を車椅子ごと乗降させることが可能な車両に改造したりすることがあります。
車両の改造についても、家屋と同様で、新車を購入する場合には、障害者仕様とするために標準の仕様と比べて高額となった金額が改造費用として認められることになるでしょう。
このような、車両の改造や購入等が必要かつ相当であれば、事故との間に相当因果関係が認められます。
5 成年後見申立費用
高次脳機能障害が残った結果、被害者に判断能力が全くない状態となった場合、加害者側への損害賠償請求と並行して、成年後見開始の審判がなされることがあります。
この場合の申立費用は、事故との間に相当因果関係が認められますので、損害賠償の対象となります。
6 弁護士にご相談を
いかがでしょうか。
意外なものもあったかもしれません。
上記のような費用の請求が可能であるにもかかわらず請求が漏れてしまっていると、被害者やその介護をする家族の方は損をしてしまいます。
また、上記の費用は一例ですので、ほかにも請求できるものがあるかもしれません。
名古屋で交通事故に遭った被害者の方やそのご家族の方は、高次脳機能障害の損害賠償請求で悩んだら、一度当法人にご相談ください。
高次脳機能障害の損害賠償請求について多数の取扱実績のある弁護士が、ご対応いたします。
高次脳機能障害において後遺障害の申請をすべきタイミング
1 高次脳機能障害において後遺障害申請のタイミングの判断は難しい
⑴ 後遺障害申請をするのは「症状固定」となったタイミング
交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった場合は、「症状固定」となった時点が後遺障害申請のタイミングとなります。
⑵「症状固定」とは?
そもそも、「症状固定」とは、「医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態であることを前提に、自然治癒経過によって到達すると認められる最終の状態のこと」を言います。
簡単に言い換えると、「これ以上治療を続けたとしても、症状の改善が望めない状態」のことです。
⑶ 高次脳機能障害における「症状固定」のタイミング
上記のとおり、高次脳機能障害が生じたケースにおいて後遺障害申請をすべきタイミングは、症状固定となった時点なのですが、高次脳機能障害の場合、どの時点をもって症状固定と判断すべきなのかという点に困難が伴うことが少なくありません。
なぜなら、高次脳機能障害の場合、身体機能障害や認知機能障害だけではなく、常識的な行動や周囲との調和をとれた行動等がとれなくなるという社会行動障害の回復の程度も考慮して総合的に判断しなければならないからです。
そのため、例えば、学生であれば、復学をして学業に耐えられるか一定期間様子を見てからでなければ症状固定となったか判断できない場合も少なくありませんし、社会人であれば、職場復帰した後、業務内容や周囲との調和等の様々な観点から、労働に耐えうるか等について一定の期間様子を見なければ、症状固定となったか判断できない場合も少なくありません。
2 症状固定となるまでの期間の目安
症状固定と判断されるまでの期間は症状の内容や程度等によって案件ごとに異なります。
なお、高次脳機能障害に対するリハビリによる改善効果は、1~2年程度はあるといわれておりますので、事故発生から1~2年を症状固定の目安にする場合もあります。
3 乳幼児や高齢者の場合は注意が必要です
⑴ 乳幼児の場合
乳幼児の場合、高次脳機能の向上が、成長によるものなのか、症状の回復によるものなのか判別しづらい場合が多くあります。
そのため、例えば、保育園等で集団生活を開始する時期、あるいは、就学・就労を開始する時期まで適応状況を調査する必要があるケースもあり、このようなケースでは後遺障害の申請をするタイミングも事故からしばらく後になる傾向があります。
⑵ 高齢者の場合
高齢者の場合、事故前から既往症を抱えておられる方も少なくありませんので、現在の症状に対する既往症の影響の有無や程度も考慮しながら、症状固定時期を検討し、後遺障害申請をしていかなければならないでしょう。
4 弁護士にご相談ください
当法人には、高次脳機能障害の案件に精通している弁護士はもちろん、過去に後遺障害の認定機関に勤めており高次脳機能障害案件の後遺障害認定基準について熟知したスタッフも所属しております。
名古屋近辺にお住まいで、交通事故による高次脳機能障害案件についてお困りの方は、一度、当法人までご相談ください。
高次脳機能障害と素因減額
1 高次脳機能障害と素因減額
名古屋は、毎年、交通事故被害者が全国でも最も多い地域の一つです。
その中でも、交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまう被害者が少なくありません。
ここで、高次脳機能障害とは、脳に障害が残り、記憶力、理解力、集中力等が低下したり、怒りっぽくなる、こだわりが強くなる、周囲の人間と衝突が増える等の性格変化が起こる症状を言います。
高次脳機能障害は、骨折や、手足などの体の一部を失った場合と異なり、目に見える症状ではありませんので、その認定は非常に複雑な判断となります。
そして、高次脳機能障害が認定され得る場合であっても、もともと事故前から有していた障害や病気(素因)により、損害賠償額が減額される場合もあります。
これを、素因減額と言いますが、今回は、名古屋やその近辺で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった方へ、高次脳機能障害と素因減額についてご説明します。
2 素因減額って何のこと?
素因減額というのは、交通事故の被害者に、損害の発生ないし拡大に寄与する要因(素因)が存在する場合、これを斟酌して損害額を減額する理論です。
平たく言えば、交通事故で後遺障害が残ったとしても、他方で事故前からもともと持っていた障害や病気(素因)があり、それが原因で、後遺障害の内容が通常よりもひどくなったという場合、もともと有していた素因の存在は賠償額を決める際に考慮しましょう、差し引きましょうというお話です。
これは、そのように考えなければ公平性が保てない、という考え方が背景にあります。
素因減額については、これまで様々議論がなされてきました。
かつては、交通事故の加害者は、被害者のあるがままを受け入れなければならず、被害者がもともと持っていた疾患や体質等が原因となって損害が発生ないし拡大したとすれば、その損害を賠償しなければならないとする見解もありました。
しかし、最高裁判所の判例において、民法722条2項(過失相殺の規定)を類推適用することで、素因減額を認めるという判断がなされ、現在の実務では、素因減額を認める処理が定着していると言えます。
3 高次脳機能障害で素因減額が肯定されるのはどういう場合?
高次脳機能障害は、前述したとおり、脳の障害です。
従って、過去の裁判例を見ても、高次脳機能障害で素因減額が肯定されるのは、もともと被害者が脳に何らかの障害や病気を持っていた場合が多いです。
例えば、過去の裁判例では、被害者に事故前から脳梗塞があった場合、一般的に脳梗塞を罹患している患者が頭部に外傷を受けた場合は、もともと脳に障害がなかった人に比べ、脳外傷による症状が重くなること等を理由として、20%~30%の素因減額を認める傾向にあるようです。
また、年齢を経ることによる脳自体の加齢変化を理由に素因減額を認めたものもあります。
更に、精神分裂病を理由として素因減額を認めたものもあります。
他方で、事故前から脳に疾患があったもののその疾患は事故直前はほぼ落ち着いており、事故の衝撃自体が高次脳機能障害を発生してもおかしくない程度であった場合は、素因減額を否定する傾向にあるようです。
4 弁護士に相談しましょう
交通事故の被害者に事故前に何らかの障害や病気があった場合、素因減額で加害者側と争いになることが多いです。
上で述べたように、事故前から有していた障害や病気が素因減額の対象とならない場合もありますが、被害者自身が交渉や訴訟の中で、それを適切かつ十分に主張・反論し、素因減額を否定していくことは相当ハードルが高いでしょう。
やはり、プロである弁護士に任せるべきです。
名古屋やその近辺で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残り、素因減額で争いとなっている場合は、是非、一度当法人にご相談ください。
高次脳機能障害と介護保険上の要介護認定
1 介護保険上の要介護認定が受けられる場合があります
名古屋及びその周辺で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残った方、そのご家族の方へ、介護保険上の要介護認定についてご説明します。
介護保険制度は、要介護状態(寝たきりや痴呆等で介護を必要とする状態)や、要支援状態(家事や身支度等の日常生活に支援が必要になった状態)となった場合、介護サービスを受けることができる制度です。
自賠責保険でいう後遺障害等級と同じように、介護保険上も介護の必要性の度合いに応じて等級があります。
介護保険上の等級は、要支援1~2、要介護1~5に分類され、要支援1が最も軽く、要介護5が最も重い等級となっています。
2 要介護認定の流れ
⑴ 相談・申請窓口
基本的にはお住まいの市区町村の窓口で相談や申請を行うことになります。
申請はご本人のみならず、ご家族も行うことができるのですが、本人が身動きの取れない状態で、かつ、ご家族も遠方に住んでいるなどの理由で窓口に行くのが難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者に申請を代行してもらうこともできます。
⑵ 審査機関
対象者の方が要介護状態や要支援状態にあるか否かや、要介護または要支援の状態の程度についての判定は、保険者である市町村に設置されている介護認定審査会において行われます。
⑶ 審査の流れ
まず、市町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定(一次判定)が行われます。
一次判定が終わると、保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会によって、一次判定結果や主治医意見書等に基づき審査判定(二次判定)が行われ、要支援ないし要介護の認定がなされることになります。
3 要介護認定と自賠責保険の後遺障害等級認定との関係
自賠責保険上の後遺障害等級と、介護保険上の要支援・要介護状態は連動するものではなく、介護保険上、要介護や要支援の認定がなされたからと言って、必ずしも自賠責保険上の後遺障害等級が認定されるわけではありません。
逆から言えば、交通事故により高次脳機能障害が残り、後遺障害が認定されたとしても、必ずしも介護保険上の要支援・要介護の認定がなされるとは限りません(そもそも、介護保険における要支援・要介護の認定がなされ得るのは、40歳に達して介護保険に加入したときからですので、交通事故により高次脳機能障害が残り、要介護・要支援状態になったとしても、年齢が40歳に達していなければ介護保険上の要介護認定を受けられません。)。
もっとも、自賠責保険における後遺障害等級上、介護を要する後遺障害に該当し得る方は、介護保険上も要介護状態にあると判断される可能性が高い傾向にありますので、交通事故に遭い、支援や介護を要する高次脳機能障害が残ってしまった場合は、介護保険上の要介護申請も行うことをおすすめいたします。
当法人では、高次脳機能障害が残った被害者の方へ、高次脳機能障害に強い弁護士から、賠償金の点のみに留まらず、様々なアドバイスをさせていただきますので、是非一度、ご相談ください。
高次脳機能障害で認定された後遺障害等級に不服がある場合
1 自賠責保険に対する異議申立
名古屋及びその近辺で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残り、後遺障害等級が認定されたものの等級に不服がある場合、または後遺障害等級非該当という結果でこれに対して不服がある場合に、不服の申立方法をご紹介します。
後遺障害等級は、自賠責保険において審査・判断されます。
そして、自賠責保険における後遺障害等級認定手続きは、判断基準の明確性、公平性、中立性を確保し、かつ大量の事件を迅速に処理するために、提出書類が決められており、その提出された書類に基づく書面審査が中心となっています。
しかし、初回申請の際に提出した資料のみでは、資料が不十分等の理由で判断が難しいこともあり誤った判断となることもあります。
そこで、初回申請の際に提出しなかった資料(追加の診断書や画像料等)を自賠責保険に新たに提出することで、異議申立をすることができます。
自賠責保険は、提出を受けた書類を、損害保険料率算出機構に回し、損害保険料算出機構が審査・判断をします。
損害保険料算出機構は、審査結果を自賠責保険に送付し、自賠責保険から被害者に結果が送付されます。
既に出された後遺障害等級や、非該当結果が不当である場合には、別途後遺障害等級が認定されることとなります。
2 紛争処理機構に対する紛争処理手続の申請
紛争処理機構とは、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構を正式名称とし、平成14年4月1日に改正された自動車損害賠償保障法に基づき設立された、裁判外紛争処理機関(ADR)です。
上記の損害保険料算出機構の判断に不服がある場合には、紛争処理機構に紛争処理手続きの申請をすることで、不服申立をすることができます。
1で述べた異議申立と紛争処理機構へ紛争処理の申請に先後関係は特に決められていませんが、通常は1の異議申立をした後に、紛争処理機構への紛争処理の申請をします。
この場合、先に自賠責保険への異議申立をする場合、自賠責保険への異議申立の結果に不服がある場合の不服申し立てとして機能することが多いです。
他方、最初から紛争処理機構へ異議申立をする場合、紛争処理機構の判断に不服がある場合には、紛争処理機構の判断に対して自賠責保険に異議申立をすることはできないことに注意が必要です。
この場合には、紛争処理機構の判断に不服がある場合は、裁判所に訴訟を起こすしかありません。
3 訴訟提起
紛争処理機構の判断にも不服がある場合には、最終的には裁判所に訴訟を提起することとなります。
加害者に対する損害賠償訴訟を提起し、その中で自賠責保険の認定した後遺障害等級の当否を争うこととなります。
裁判所は自賠責保険の上位機関ではありませんので、裁判所の判断が自賠責保険の認定の法的効果を覆すわけではありませんが、損害の程度を評価するために自賠責等級の何級程度の障害が残ったのかが判断され、損害額が算定され、裁判所の判決には加害者や加害者側保険会社は従うこととなります。
4 当法人にご相談を
交通事故に遭い、高次脳機能障害が残った場合、認定される後遺障害等級によって賠償額は大きく変わります。
それこそ、何千万円単位で変わる場合もあります。
まさに、高次脳機能障害が残った被害者にとっては、一生の問題となるかもしれません。
認定された自賠責保険の等級に不服がある場合には、上記のような複数の争い方がありますが、どれが最も適切なのか、専門家の弁護士にご相談されるのが良いでしょう。
名古屋及びその近辺で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった方は、是非、一度当法人にご相談ください。
経験豊富な弁護士が、アドバイスいたします。
後遺障害等級が3級以下の高次脳機能障害で将来の介護費が認められる場合
1 後遺障害等級が3級以下の高次脳機能障害でも将来の介護費は認められるの?
交通事故による高次脳機能障害が自賠法施行令の別表第1に掲げられている1級や2級の後遺障害に該当するとされた場合は、被害者の方に将来にわたって必要となる介護費用が賠償の対象となりやすい傾向にあります。
なぜなら、自賠法施行令の別表1に掲げられた後遺障害等級は、そもそも日常生活上で介護を要することを前提としたものであるためです(なお、自賠法施行令の別表1には、1級と2級しかありません。)。
これに対し、自賠法施行令の別表第2に掲げられた後遺障害は、必ずしも日常生活上の介護が必要であることを前提としたものではありません。
そのため、高次脳機能障害による後遺障害の等級が3級以下の場合は、当然に将来の介護費が認められるわけではありません。
もっとも、後遺障害等級が3級以下であったとしても、日常生活において、一定程度他人の助けを要する場合や、看視・見守りがなければ危険がある場合等、後遺障害の内容や程度によって、将来の介護費用の賠償が認められることもあります。
2 後遺障害等級が3級以下の場合の将来介護費用の相場は?
後遺障害等級が3級以下の場合における将来介護費用の金額は、1級や2級に比べると少なくなる傾向にあります。
もっとも、将来介護費の金額は、後遺障害の等級のみによって自動的に決まるわけではなく、日常生活を送るのに具体的にどのような支障が生じているのか、介護がなければ日常生活にどのような支障が生じるのか、現実にどのような介護が行われているか(どのような内容でどの程度の時間を要しているか)、介護を行うのにどの程度の肉体的・精神的な負担がかかるのか等の多岐にわたる要素を考慮した上で判断されることになります。
後遺障害等級が3級で将来介護費用の賠償が認められたケースとしては、身体介護ではなく声掛けや看視を主な内容とする介護が必要であり、将来は職業介護人が必要となる可能性があるとして1日あたり5000円を認定した例や、入浴については全部介助を要し、衣類の着脱についても一部介助が必要等、随時介護が必要な状態に近いとして5000円を認定された例などがあります。
5級以下の場合では、症状や介護を要する内容により、1000円~4000円が認定されることが多い傾向にあります。
3 後遺障害等級が3級以下で介護が必要な状態である場合は弁護士に相談を!
高次脳機能障害で3級以下の後遺障害等級が認定された場合に、将来の介護費を獲得するのは、1級や2級の場合に比べると難しい傾向があります。
後遺障害等級が3級以下の場合は、加害者側の保険会社側から提示される示談の内容には、そもそも将来の介護費が含まれていなかったり、含まれていたとしても極めて低額であるケースがよく見られますので、このようなケースで適切な将来介護費の賠償を求めるためには、将来介護の必要性について専門的な知見に基づいて必要十分な主張立証する必要があります。
当法人では、後遺障害等級が3級以下の高次脳機能障害でも、ご依頼いただいて交渉を行った結果、将来の介護費を獲得できたというケースも少なくありませんので、交通事故によって高次脳機能障害が残り、3級以下の後遺障害等級が認定された方は、示談をする前に、弁護士法人心 名古屋法律事務所まで、一度ご相談ください。
高次脳機能障害と将来の介護費用の算定例
1 高次脳機能障害で将来の介護費用が認められるのはどのような場合?
交通事故に遭い、高次脳機能障害が残った場合、将来にわたって介護が必要と認められれば、将来の介護費用が支払われる場合があります。
将来の介護費用が支払われる場合は、通常、自賠責保険の後遺障害等級別表第1の1級(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの)や、同2級(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの)が認定された場合です。
もっとも、上記以外の等級の場合でも、ケースによっては将来の介護費用が認められる場合があります。
2 将来の介護費用はどのように計算される?
「介護日額×平均余命までの期間(中間利息を控除)」にて計算されるのが通常です。
介護日額は、職業介護者の介護を要する場合は、実際に支出されるであろう費用(実費)をベースとした金額で算定することが通常です。
親族等の介護の場合は介護の度合いに応じて異なりますが、常時介護が必要な場合は、1日8000円~10000円程度、常時介護までは必要ない場合は介護の必要性の内容・程度に応じてこれよりも減額されることが多いです。
また、在宅介護か施設介護かによっても異なります。
3 実際の認定例
実際の事例では、上記の要素を組み合わせて認定される場合が多いです。
例えば、平日(週5日)は職業介護者により、休日(週2日)は近親者による介護による、近親者が介護困難となる67歳となった後から被害者の平均余命までの間は、主として職業介護人による介護が行われる蓋然性が高いとして職業介護者によるとして算定をした例、症状固定からしばらくの間は入院付添介護、その後両親による介護可能な間は両親による介護、両親死亡後の被害者の平均余命までは施設入所介護をベースで算定した例等があります。
また、日常生活上、身体的に常時ないし随時介護を要するとまでは言えず、1級や2級に該当しない場合でも、声がけや看視を主な内容とする介護が必要な状態である場合や、外出の際送迎や付き添いが必要であると認められる場合で、3000円~5000円程度の将来の介護費用を認める例もあります。
4 弁護士にご相談ください
将来の介護費用は、高次脳機能障害を負った交通事故の被害者にとって、賠償額のうち、大きなウェイトを占める項目です。
働くことができなくなった被害者にとって、将来の介護費用を十分に認めてもらえることが、残りの人生に大きく影響するほど重要な問題です。
適切な金額を獲得するためには、どのような介護が必要なのか、その費用はどの程度要するのか、適切に主張し、証拠となる資料を収集しなければなりません。
交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまい、将来の介護が必要となった場合は、専門である弁護士に相談することをお勧めします。
名古屋近辺で事故に遭われた場合は、弁護士法人心 名古屋法律事務所にご相談ください。
高次脳機能障害と後遺障害慰謝料
1 後遺障害慰謝料ってどんなもの?
交通事故に遭って負った怪我について治療を続けたにもかかわらず、症状が完治しなかったという場合、その症状が「後遺障害」として認められる場合があります。
残った症状が後遺障害として認められた場合は、後遺障害が残ってしまったことによって被る精神的痛に対する慰謝料が支払われることになるのですが、この慰謝料のことを「後遺障害慰謝料」と言います。
高次脳機能障害が残った場合も、その症状が後遺障害として認められれば、残った高次脳機能障害の内容や程度に応じて、後遺障害慰謝料が支払われることになります。
2 高次脳機能障害の等級別の後遺障害慰謝料額
高次脳機能障害に関する後遺障害は、その内容や程度に応じて、自賠責保険における後遺障害等級上、1級、2級、3級、5級、7級、9級に分類されます。
公益社団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」によれば、裁判基準における後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級が第1級の場合は2800万円、2級の場合は2370万円、3級の場合は1990万円、5級の場合は1400万円、7級の場合は1000万円、9級の場合は690万円とされています。
もっとも、これは目安ですので、後遺障害の程度や内容等の各事案における個別具体的事情に応じて増減される場合もあります。
3 高次脳機能障害に関する後遺障害等級の違い
⑴ 1級のイメージ
1級(自動車損害賠償保障法の施行令における別表(以下、単に「別表」と言います。)第1、1級1号)は、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するものという認定基準で判断されます。
生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するものである場合には1級にあたると考えられています。
⑵ 2級のイメージ
2級(別表第1、2級1号)は、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するものという認定基準で判断されます。
身体的には、一応、排せつ、食事等の活動ができるとしても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないものである場合には2級にあたると考えられています。
⑶ 3級のイメージ
3級(別表第2、3級3号)は、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないものという認定基準で判断されます。
一応、自宅周辺を一人で外出でき、声掛けや介助なしでも日常の動作を行えるが、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なものは3級にあたると考えられています。
⑷ 5級のイメージ
5級(別表第2、5級2号)は、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に簡易な労務以外の労務に服することができないものという認定基準で判断されます。
単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能と考えられますが、一般人に比して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができないものは5級にあたると考えられています。
⑸ 7級のイメージ
神経系統の機能又は精神に障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないものという認定基準で判断されます。
5級よりも障害の程度は軽く、一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどで一般人と同等の作業を行うことができないものは7級にあたると考えられています。
⑹ 9級のイメージ
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるものという認定基準で判断されます。
7級よりも障害はさらに軽く、一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるものは9級にあたると考えられています。
4 適切な後遺障害等級を獲得することが重要
上記のように、交通事故被害者に残った高次脳機能障害に対していずれの等級が認定されるかによって、後遺障害慰謝料は大きく異なってきます。
そのため、高次脳機能障害に関する後遺障害の申請は、高次脳機能障害の取扱い実績が豊富な弁護士に依頼することが極めて重要です。
たとえ既に等級が認定された交通事故被害者方の場合であっても、その等級が不当に軽ければ自賠責保険に異議申立をすることも可能ですので、異議申立すべきか否かについても高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談し、適切な等級かを確認しましょう。
5 後遺障害慰謝料額の妥当性も重要
適切な後遺障害等級が取れても、後遺障害慰謝料額が不当に低い場合もあります。
後遺障害慰謝料は、保険会社から提示を受けた金額である場合の多くは保険会社基準で算定されたものですので、弁護士が用いる基準よりも少ないことも多くあります。
保険会社から賠償金の額が提示された場合は、後遺障害慰謝料額が適切か、是非、一度、弁護士にご相談ください。
名古屋及びその近辺で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった方は、高次脳機能障害の取扱実績が豊富な当法人にご相談ください。
高次脳機能障害と傷害慰謝料
1 高次脳機能障害が残った場合に発生する慰謝料
交通事故に遭い、傷害を負って入院や通院を余儀なくされた場合、傷害慰謝料が支払われます。
傷害慰謝料は、入通院慰謝料とも呼ばれ、治療のため、入院又は通院を余儀なくされたことの精神的苦痛を慰謝するものです。
この点、慰謝料といわわれるものには、傷害慰謝料のほかに後遺障害慰謝料もございます。
後遺障害慰謝料は後遺障害が残ってしまったことの精神的苦痛を慰謝するものです。
ここでは、高次脳機能障害が残った場合の傷害慰謝料についてご説明いたします。
2 傷害慰謝料の計算方法
傷害慰謝料は、基本的には入院期間や通院期間の長さに応じて計算されます。
ただし、同じ入通院期間でも、保険会社が用いる基準と弁護士が用いる基準は異なります。
弁護士が用いる基準は、弁護士基準、裁判所基準等と呼ばれ、赤い本(公益社団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」)等を用います。
そして、赤い本で用いられる慰謝料の算定基準は中等度以上の傷害で用いられる別表Ⅰと、軽い打撲挫創(傷)等の軽傷で用いられる別表Ⅱがございます。
高次脳機能障害の場合は別表Ⅰによる場合が多いですので、以下では別表Ⅰについてご説明します。
赤い本別表Ⅰを一部抜粋すると、次のような慰謝料額が定められております。
⑴ 通院のみの場合
1か月 28万円
3か月で73万円
6か月で116万円
9か月で139万円
12か月で154万円
15か月で164万円
⑵ 入院のみの場合
入院1か月53万円
3か月 145万円
6か月 244万円
9か月 297万円
12か月 321万円
⑶ 入院+通院の場合
入院1か月+通院1か月 77万円
入院3か月+通院3か月 188万円
入院6か月+通院6か月 282万円
入院9カ月+通院9カ月 328万円
以上の内容が、入院・通院の期間に応じて、一覧表で定められおり、慰謝料の目安となる金額を算出することができます。
ただし、通院が長期にわたる場合で、経過観察的な要素が強い場合には、通院実日数の3.5倍程度を通院期間とみなす場合もあるとされています。
3 高次脳機能障害において傷害慰謝料が増額される場合とは?
上記の赤い本別表Ⅰに定められた金額は、あくまで目安ですので、生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔無しで手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは別途増額を考慮すると赤本には記載されております。
また、生死の間を彷徨う状態が継続した場合や、複雑骨折や多数箇所の骨折、せき髄の損傷を伴うことや、内臓が損傷を受けたような場合も、増額される場合はあると考えられております。
4 弁護士にご相談ください
交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった名古屋及びその近辺の方は、保険会社から傷害慰謝料の提示があったら、そのまま示談するのではなく、一度弁護士に傷害慰謝料の金額が妥当かどうかチェックをしてもらうことをお勧めいたします。
保険会社の提示金額は、保険会社基準で算出されており、低額である場合が多いです。
弁護士が適切な金額となるよう交渉いたします。
高次脳機能障害と症状固定
1 症状固定とは?
症状固定とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態をいうとされています。
要するに、これ以上治療やリハビリ等を継続しても、症状の改善が期待できない状態のことをいいます。
2 症状固定と判断されるとどうなる?
症状固定と判断されると、原則として、加害者側は、症状固定とされた以降の治療費等の支払い義務を免れます。
その背後には、一般的に、症状の改善が期待できない状態(=症状固定)に至った後の治療費等は、症状の改善に役に立たないのであるから、交通事故によって加害者が負担することが相当な損害とは言えないという考え方があります。
また、症状固定とされた後、自賠責保険への後遺障害の申請の手続を行った場合は、症状固定時を基準として、後遺障害が存在するのか否かが審査され、後遺障害が残存していると判断されれば、その後遺障害に対する賠償も問題となります(なお、自賠責保険では後遺障害の認定がなされなかった場合でも、裁判で後遺障害の存在を主張・立証して後遺障害に対する賠償を求めていくことも可能です。)。
したがって、症状固定の時期は、交通事故被害者の損害賠償上、大きな分岐点となり、非常に重要な問題といえます。
3 高次脳機能障害と症状固定
高次脳機能障害の場合、どの時点をもって症状固定と判断するのかは非常に困難であることが多いです。
なぜなら、高次脳機能障害による症状は、身体機能の障害や認知機能の障害だけではなく、常識的な行動や周囲との調和をとれた行動等がとれなくなるという社会行動についての障害等、様々な障害として顕在化しますので、これらの障害の回復可能性を個別具体的に考えなくてはならないためです。
4 具体的な症状固定までの期間
高次脳機能障害の症状固定時期は、交通事故外傷による脳室拡大等の直接の症状の進行が停止したのかといった点や、リハビリ等による症状の回復の程度や可能性等を踏まえ、個別の事案ごとに、医師の判断を基礎として判断されるのが一般的です。
なお、高次脳機能障害に対するリハビリによる改善効果は、1年ないし2年程度はあるといわれておりますので、1~2年が目安とされる場合もありますが、中には3年以上の長期にわたり治療をして、ようやく症状固定に至ったケースもございます。
5 高次脳機能障害について弁護士に相談
当法人では、適切な症状固定時期についても経験豊富な弁護士が検討し、適切な後遺障害が認定されるよう手続をサポートさせていただいておりますので、高次脳機能障害に関してお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
高次脳機能障害がないと安易に即断することの危険性
1 医師でも気が付かないことがあります
高次脳機能障害は難しい症状です。
高次脳機能障害は、手足を失った、下半身が麻痺し車椅子になった、身体機能や運動機能を失った、失明した等の傍から見て明らかにわかる症状とは異なります。
交通事故で頭部にダメージを受けた結果、記憶力が低下した、集中力がなくなり一つのことをやっていてもすぐに他のことをやり始めてしまう、文章を整然と書くことができなくなる、怒りっぽくなり周囲とよく衝突するようになるなどの症状が生じることがあります。
このような症状を高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害は、被害者は一見すると問題がないように見えることも多いため、医師でも気付かないことがあります。
したがって、家族等の身近な方が日常生活上の被害者の様子を注意深く見守り、異常があれば記録し、医師に相談することが非常に重要です。
2 被害者自身に障害の認識が欠けていることがあります
高次脳機能障害の発覚を妨げる原因の一つに、被害者自身が高次脳機能障害の症状に気づきにくいことが多い、自覚がないことが多いことも挙げられます。
そして、このように被害者自身に高次脳機能障害の自覚がないことで、周囲に事故前と同じように振舞ってしまうことにより、周囲も被害者の異常に気が付かないことになりがちです。
ところが、被害者自身に高次脳機能障害の自覚がないために、事故前と同じように振舞ってしまうため、思わぬ事故や不利益がおこることがあります。
たとえば、階段の上り下りや歩行中に障害物をよける等の際、階段から落下し大怪我をする等のことが考えられますし、様々な契約等をする場合にも「自分は十分に契約内容を理解できる」との思い込みにより、契約内容のうちの重要な事項を理解できないまま契約して不利益を被ってしまう等のことも考えられます。
したがって、やはり、交通事故被害者の家族等、周囲の方が日常生活において注意深く見守り、トラブルがあればすぐに医師などに伝えることが非常に重要となります。
3 専門医師による検査を受けることが重要です
高次脳機能障害は、被害者自身も気づきにくいことが多く、その結果周囲の家族も気づきにくくなりがちであるため、発見されないままとなることもあります。
このようなことを避けるためには、なるべく客観的な判断が可能となるよう、専門医師による各種の検査を受けることをおすすめします。
例えば、認知機能に関し、よく用いられる検査としては、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)ウェクスラー成人知能検査(WAIS-Ⅲ)、ミニメンタルステート検査(MMSE)等があります。
遂行機能障害、注意力障害に関する検査としては、ウィスコンシン・カードソーティング・テスト(WCST)、ミニメンタルステート検査(MMSE)等があります。
4 高次脳機能障害以外の症状を発見できる場合もあります
前述したように高次脳機能障害の検査を受けることは、別の意味でも有益なことがあります。
というのは、高次脳機能障害の検査を受けたところ、高次脳機能障害以外の精神疾患や、糖尿病性脳症等のように、他の病気が発見できる場合があるのです。
これらの高次脳機能障害以外の症状も、治療を受ける必要性が高いため、早期に発見できた方がよいです。
その点からも、やはり高次脳障害が疑われる場合は専門的な検査を受けることが重要です。
5 発覚までに時間がかかる場合があります
交通事故に遭ったのが子どもである場合、事故直後には特に異常がなく、高次脳機能障害の疑いは無いように見えることもあります。
しかし、事故直後は障害が無いように見えても、時間が経過し、進学したり、就職して初めて周囲とよくトラブルを起こす等で高次脳機能障害が発覚することもあります。
この場合は相当長期の経過観察を要することとなります。
6 弁護士への相談をおすすめします
交通事故に遭い、高次脳機能障害が生じているのか疑われる場合、適切な後遺障害獲得の観点から、弁護士によるアドバイスを受けることが有益な場合も多いです。
是非、詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
名古屋で交通事故に遭い、高次脳機能障害が疑われる場合、一度、当法人の高次脳機能障害に精通した弁護士にご相談ください。
高次脳機能障害の後遺障害の申請
1 どのような資料を提出すればいいの?
交通事故に遭い、頭部に外傷を受け、高次脳機能障害が残ってしまった場合、適切な賠償を受けるには、後遺障害の申請をして適切な後遺障害等級の認定を受けることが必須です。
ところが、後遺障害の申請をする場合、加害者側の自賠責保険に必要資料を揃えて提出しなければなりません。
この提出資料は、非常に多くかつ様々なものがあります。
例えば、後遺障害診断書(症状固定時に医師に作成してもらいます)、治療中に治療費請求等のために医療機関から定期的に保険会社に提出されていた自賠責保険の書式の診断書、診療報酬明細書(レセプト)、診療録(カルテ)、レントゲンやCT、MRIなどの画像資料、事故車両に関する写真等の資料等などが挙げられます。
これらを被害者の方がご自身で揃えるとなると、非常に手間がかかりますし、何をどこから取り寄せればよいのかわからず、心が折れてしまい後遺障害の申請を断念するようなことにもなりかねません。
2 後遺障害の申請は保険会社に任せていいの?
後遺障害の申請は、加害者側の保険会社(以下、「相手方保険会社」といいます)に手続きを取ってもらうことも可能です。
相手方保険会社に任せれば、被害者の負担が少なくかつスピーディーに申請を行うことが可能です。
というのも、相手方保険会社は、被害者が事故に遭ってから症状固定となるまで、被害者の治療費を支払っていることが多く、その場合は相手方保険会社が医療機関側から定期的に送られてくる診断書、診療報酬明細書等をすでに手元にもっておりますし、車両についても相手方保険会社が賠償する際に、車両の写真や修理明細等の資料も既に持っていることが多いです。
そのため、0から資料を揃えなければならいということはなく、多くは被害者が後遺障害診断書を主治医に書いてもらえれば、すぐに後遺障害申請を行うことができます。
しかしながら、相手方保険会社に後遺障害申請手続をしてもらうのは、あまりお勧めできません。
なぜなら、相手方保険会社の本音は、後遺障害が認定されれば賠償金が大きく増え、それを相手方保険会社が負担しなければならなくなるため、できれば後遺障害が認定されない、されたとしても軽い等級になったほうが「助かる」というものです。
そこで、相手方保険会社には資料の取得収集に積極性を期待することができず、結果として、後遺障害が認定されるか否かがぎりぎりのラインのケースであれば、結果に差が出ることもあるかもしれません。そこで、相手方保険会社に後遺障害申請を任せるのではなく、被害者が自身で申請する、「被害者請求」によることがお勧めです。
もっとも、被害者請求の場合、被害者が上記の必要資料を自分の手で集めなければならないため、後遺障害の申請を相手方保険会社に任せる場合に比べ、時間と手間がかかります。
しかし、この被害者請求手続を弁護士に依頼することで、被害者請求のデメリットを解消することができます。
また、弁護士は、依頼者の方が適切な等級を獲得できるように真摯に対応しますので、安心です。
従って、高次脳機能障害が残ったため後遺障害の申請をする場合は、被害者請求により、かつ、高次脳機能障害での後遺障害申請の実績豊富な弁護士に依頼をすることをお勧めいたします。
3 当法人へご相談
高次脳機能障害の後遺障害申請において適切な後遺障害等級を獲得するためには、事故直後から、医師等の医療機関や相手方保険会社とのやり取り気を付けたり、適切な検査を受けたりする必要があります。
弁護士法人心は、これまでに多くの高次脳機能障害における後遺障害等級認定の実績があり、豊富なノウハウを共有しておりますので、治療の初期段階から、医療機関とのやり取りの仕方や行うべき検査に関するアドバイス、被害者の方に交通事故を原因とする高次脳機能障害が生じていることを立証するための方法に関するアドバイスなどを行うことが可能です。
名古屋で交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった場合は、弁護士法人心 名古屋法律事務所にご相談ください。
高次脳機能障害の後遺障害逸失利益
1 後遺障害逸失利益とは?
交通事故で高次脳機能障害と診断され、自賠責保険において重い後遺障害が認定されることがあります。
この場合、将来にわたって全く働けなくなるか、事故前よりも労働能力を一部喪失することが多いです。
こうしたケースでは、事故に遭わなければ被害者が将来にわたり働いて得られるはずだった収入の喪失分が交通事故による損害となります。
これを、「後遺障害逸失利益」と呼ばれ、加害者側に請求できるものとなります。
そして、後遺障害逸失利益の賠償方法は、従来は一時金賠償による方法が行われておりましたが、近時では最高裁判例が出たことにより定期金賠償による方法も可能となりました。
それぞれの賠償方法についてご説明いたします。
2 従来の慣行
これまでは、後遺障害逸失利益が支払われる場合、将来にわたり発生する後遺障害逸失利益を和解時あるいは判決時に一括で支払うという、一時金方式が慣行となっておりました。
そのため、将来に亘り発生する分を和解時あるいは判決時において支払いを受けることとなるため、被害者は中間利息分の過分な利益を得ていることとなるため、この中間利息を控除して計算する方法が慣行となっておりました。
具体的には、ライプニッツ係数を用います。
ライプニッツ係数は、ある一定の年額を、ある時点(例えば和解時や判決時等の一時点)から将来何年かにわたり継続的に得るとした場合に、それをある一時点でもらうとしたらいくらに換算するのが適当かという観点で算出された係数です。
このライプニッツ係数は、2020年4月1日を境に改訂されております。
2020年4月1日以降は改正民法が適用される関係で、年率3%で算出されています。
2020年4月1日よりも前の事故に適用されるものは年率5%で算出されております。
なお、年率3%で作成されている2020年4月1日以降のライプニッツ係数のほうが、控除される中間利息が少額となる関係で、被害者にとっては、有利となりました。
例えば、将来の40年分を請求する場合、事故当時の収入額等の基礎収入額×40とするわけではなく、令和2年4月1日より前の事故の場合であれば17.1591、令和2年4月1日より後の事故の場合であれば23.1148を掛けます。
このように一時金賠償による場合は中間利息を控除するわけですが、それにより実際の取り分が半分以下に減額されることも有る等、交通事故被害者にとっては大変な不満を感じることが多かったのです。
3 令和2年7月の最高裁判例
上記のように、従来は一時金賠償で計算することが慣行だったのですが、令和2年7月、定期金賠償を認める画期的な最高裁判例が出されました。
この最高裁判決は、後遺障害逸失利益について、実際の取り分が大きく減る一括払いではなく、将来にわたり、1年ごとあるいは1か月ごとに定期的に受けとるという定期金賠償の形で支払いを受けることを認めました。
この判決が交通事故の実務に与える影響は大きいと思われます。
もっとも、単純に金額が増えるから定期金によるべきだ、と考えるのではなく、定期金賠償によるべきか、一時金によるべきかは、ケースごとに慎重に検討すべきと考えられます。
なぜなら、定期金賠償のほうが、被害者が受け取れる金額が増える点で被害者に有利と思われますが、被害者は、定期的に症状や収入状況に変化がないか、加害者側(保険会社等)から接触を受け続けなければなりません。
この負担ないしストレスは相当なものでしょう。
また、加害者側から、症状が回復した、十分な収入を得られるようになった等と主張され、後に減額されるというリスクもあります。
4 弁護士にご相談を
一時金賠償によるのか定期金賠償によるのかは、よくよく考えなければなりません。
名古屋で交通事故に遭い、高次脳機能障害など重い後遺障害が残り、後遺障害逸失利益を請求しなければならない方は、弁護士法人心 名古屋法律事務所にご相談ください。
弁護士が、適切な賠償を得られるよう後遺障害逸失利益を請求し、賠償方法についても、ケースに合わせて、一時金賠償か定期金賠償
かどちらが適切なのか、検討いたします。
どのようなときに高次脳機能障害だと判断されるのか
1 高次脳機能障害と判断される目安とは
交通事故で高次脳機能障害となってしまった場合、自賠責保険で適切な後遺障害等級を認定されなければなりません。
その際に重要なのが自賠責保険における高次脳機能障害の認定基準です。
自賠責保険においては、①交通事故外傷による脳の受傷を裏付けるCTやMRI等の画像所見があること、②相当な期間意識障害が継続したこと、③認知障害、行動障害、人格変化などの高次脳機能障害特有の症状があること、が基本要素とされています。
2 脳の受傷を裏付ける画像所見のポイント
交通事故外傷による脳の受傷を裏付ける画像としては、CTやMRIが非常に重要です。
CTやMRIを撮影し、事故後から時間が経過するごとに画像で観察を行い、硬膜下血腫やくも膜下出血等の脳出血の存在や、脳挫傷痕の存在、びまん性軸索損傷の有無等をつぶさに観察する必要があります。
そして、これらが確認されれば、外傷による脳損傷があったと認められやすくなります。
なお、一見正常に見えるとしても脳内に点状出血が生じていないか等を注意深く確認する必要があります。
また、びまん性軸索損傷は一見しただけでは判明し難いことも多く、びまん性軸索損傷が疑われるケースにおいては、脳室拡大や脳萎縮の有無を細かく観察していくことも重要です。
3 意識障害とは
交通事故等の脳外傷による高次脳機能障害は、一般的に、意識障害を伴うような頭部外傷後に起こりやすいとされています。
そこで、事故直後における意識障害の有無及び程度が、高次脳機能障害が発生しているか否かの判断に大きく影響します。
具体的には、事故直後、昏睡状態や半昏睡状態で開眼しないか、開眼しても応答しない状態が少なくとも6時間以上継続すると高次脳機能障害が残ることが多いとされています。
また、上記までは至らなくとも健忘症または軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いた場合も高次脳機能障害を残すことがあるとされています。
4 高次脳機能障害に特有の症状とは
交通事故による脳損傷が原因で高次脳機能障害が生じている場合、認知障害、行動障害、人格変化等が生じる傾向があります。
症状の具体例として以下のような症状が挙げられます。
・会話の内容が理解できない
・会話がかみ合わない
・記憶力が低下しつい最近の出来事も覚えていない
・集中力が散漫で一つの作業を継続することができずすぐに他のことをし始める
・感情の起伏が激しい
・気分が変わりやすい
・怒りやすい(大声を出す)
・話が回りくどく要点が伝わりにくい
・話の内容が変わりやすい
・服装や身じまいに無頓着
・身の回りの整理整頓ができない
・性的な異常行動や性的羞恥心の欠如
・複数のことを並行して同時に作業することができない
・周囲との調和ができず職場や学校等でトラブルが多い
・人間関係で軋轢を生じる
これらについては、医師の所見だけでは必ずしも判明しないことが多いです。
むしろ、日常から被害者の生活状況や人格・性格を把握している被害者の家族や、被害者の勤務状況を把握している勤務先の同僚・上司等が、事故後における被害者の性格や行動の変化を注意深く観察し、異変があれば記録を残しておくことや、医師に伝える等が必要です。
高次脳機能障害と後遺障害等級
1 高次脳機能障害とはどんな症状?
高次脳機能障害とは、脳に損傷を受け、その結果、記憶力が低下する、集中力が低下する、周囲との調和が図れず社会的に問題のある行動を起こすようになるなど、様々な神経心理学的障害が生じることを指します。
見た目には分かりにくく、運動機能や生命維持機能に問題があるわけでもなく、記憶力、集中力、理解力、文章を書く能力等の表現力、その他感情をコントロールする能力など、理性的に行動する能力に障害が生じます。
高次脳機能障害は、上記のとおり、見た目には必ずしもすぐに判別できる症状ではないため、そもそもその発見が難しかったり、高次脳機能障害が疑われたとしても、それが後遺障害何級相当なのか、交通事故との因果関係等の判断が難しい症状です。
高次脳機能障害の患者は、パッと見た限りでは、異常はないように見えることが多いです。
それでも、被害者の方の普段の様子を注意深く見ていただくことで、例えば、つい最近話したことでも覚えていないことがよくある、ちょっとしたことでもすぐ怒るようになった、自己中心的になった、一つのことに異様に執着する、粘着質な性格になった、周囲とトラブルをよく起こすようになったなどの変化が生じていることがあります。
これは、高次脳機能障害の症状である場合がありますので、見逃さないように注意が必要です。
高次脳機能障害は、未だ専門家でもその内容を解明しきれていない部分もあり、自賠責保険で認定基準が設けられたのも近時のことです。
高次脳機能障害で適切な後遺障害等級の認定や適切な賠償を受けるためには、必要かつ十分な資料を揃え、ポイントを押さえた後遺障害の申請を行うことが必要となります。
2 高次脳機能障害と交通事故の後遺障害等級
高次脳機能障害が交通事故の後遺障害として認定される場合、自賠責の後遺障害等級1~9級の等級に分類されます。
上記後遺障害等級のうち、高次脳機能障害に関連する等級は次のとおりです。
- 9級 「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
- 7級 「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
- 5級 「神経系統の機能又は精神に障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
- 3級 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」
- (以上が自賠責後遺障害等級別表第2)
- 2級 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
- 1級 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
- (以上が同別表第1)
3 適切な等級を獲得する重要性
高次脳機能障害は、被害者の方によって重さが様々であり、軽度なものから重度なものまで様々です。
そのため、自賠責保険でも、その重症度に応じて、認定される等級は異なります。
等級が異なれば、損害賠償額が数千万円単位で変わることもあり、働くことができなくなった交通事故被害者の方にとって、何級が認定されるかは、今後の生活を左右する重要な問題です。
適切な等級が認定されず、不当に軽い等級、あるいは非該当となってしまえば、被害者の方にとって大きな損失となります。
これを回避するためにも、適切な等級が認められるような行動をしていかなければなりません。
具体的には、事故直後から適切な医療機関にかかり、必要な検査や治療を受け、後遺障害を申請する際も、適切な資料、証拠を収集し、提出することが、適切な等級を獲得するために重要です。
これらは、知識のない被害者の方やその家族の方が自分で判断し、進めていくことは困難であることが多いです。
そこで、早期に高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
高次脳機能障害が残った交通事故被害に遭われた方は、弁護士法人心 名古屋法律事務所に一度ご相談ください。