交通事故による『高次脳機能障害』は弁護士法人心まで

「その他の高次脳機能障害情報」に関するQ&A

高次脳機能障害について弁護士に相談すべきタイミングはいつですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2020年12月1日

1 高次脳機能障害は初期対応が特に重要

⑴ 画像所見

高次脳機能障害は、初期の段階では家族でもすぐには分からない性格変化や記憶障害、注意障害、などを伴うことがあります。

そのため、初期に発見されずに、症状がかなり進行した後に、確定診断がされることも少なくありません。

しかしながら、事故から時間が経った後に画像を撮影したとしても、経過が分からないことから、後遺障害等級認定において不利になることがあります。

頭部を負傷している場合には、念のため、脳の精密な検査を受けること、少しでも性格変化や記憶障害、注意障害、判断能力の低下、がある場合には、主治医に伝えて、精密な検査を受けること、をお勧めします。

⑵ 主治医に症状を伝える

高次脳機能障害は、ご家族の方ですら、初期の段階では分かりづらいことが少なくありません。

まして、主治医は、事故前の被害者の状態を知らないため、ご家族の方が適切に事故前からの変化を伝えないと高次脳機能障害であることが見逃されてしまうこともあります。

その結果、事故から長期間、高次脳機能障害特有の症状がカルテに記載されず、適正な賠償金を得られないこともあります。

⑶ 症状等の証拠

高次脳機能障害においては、その症状の経過、症状の有無が問題にされることも少なくありません。

争われることに備えて、事故後、被害者の言動などを日記帳のようなものに記載することで、症状の証拠を作成することが大切です。

⑷ まとめ

このように、高次脳機能障害においては、症状の証拠を残すことなど初期対応がとても重要になります。

2 できる限り早い段階で相談を

前記のとおり、高次脳機能障害においては、初期対応が特に重要になります。

初期対応を間違えてしまうと、適正な後遺障害等級が認定されず、適正な賠償金を得られないこともあります。

後遺障害の賠償金は、等級が1つないし2つ異なることで、100万円単位、場合によっては、1000万円単位で賠償金が異なることも少なくありません。

後悔しないためにも、できる限り早い段階で、弁護士に相談することをお勧めします。

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高次脳機能障害をいつ弁護士に相談するべきか

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年1月18日

1 早めのご相談を

高次脳機能障害について、いつ弁護士に相談すべきについてですが、事故により、頭部に重大な傷害(脳挫傷、自然に治癒する見込みのない脳内出血など)を負った時点が最も望ましいといえます。

次いで、「被害者の異常な言動」が現れたときであり、最後が、後遺障害の申請を行うとき、となります。

しかし、できれば、なるべく早い時期に弁護士へご相談ください。

以下、その理由について説明させていただきます。

2 高次脳機能障害が認定されるための要件について

⑴ 自動車賠償責任保険(以下「自賠責」といいます。)において、事故による高次脳機能障害を原因とする後遺障害を認定するに当たり、以下の要件を充たすことが必要とされています。

ア 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査の結果(画像データ)があること

イ 一定期間の意識障害が継続したこと

ウ 被害者に、一定の異常な言動が生じていること

⑵ 事故により高次脳機能障害が発生したことが認められるかどうかについては、上記要件のうち、画像データの存在がもっとも重要です。

交通事故によるけがは、事故の際の外力(事故時の衝撃など)が脳を含む身体に作用することにより生じるものであるところ、画像データは、上記身体(脳)への外力の作用を明確に示すものだからです。

これに対し、脳の受傷を推認させる画像データが存在しない場合、高次脳機能障害による症状があったとしても、事故が原因で、高次脳機能障害が発生したものと認めることは困難であるのが実情です。

ただし例外として、自賠責は、事故後の脳全体の萎縮の事実と、事故後3か月程度での萎縮の固定が確認されれば、脳神経の損傷を認めるとの指針を示しています。

上記の指針に該当すると認定されるためには、事故直後の脳の画像と、その後の画像とを比較することにより、脳が萎縮していることを確認する必要があります。

そして、上記の確認を行うためには、事故直後の画像と、その後の画像がそれぞれ撮影されていることが必要です。

3 弁護士への早期の相談が必要である理由

高次脳機能障害の認定に当たり、最も重視される脳の画像について、これまでご説明したとおり、事故直後の画像(脳の受傷を裏付けるもの)、あるいは事故から3か月程度経過した時点における脳の萎縮と固定の事実を裏付ける画像が必要となります。

しかしながら、このことについては広く知られているものではないため、弁護士への相談が遅れた場合、必要な時期に画像を取得する(必要な時期に画像を得るための検査や診断を医師に依頼する)ことができず、高次脳機能障害の認定がされない場合があります。

弁護士への早期の相談が望ましいとしたのは、上記のような事態を防ぐためです。

また、上記1⑴イの「一定期間の意識障害が継続したこと」について、医療機関の記録の他に、医療機関に搬送される際の救急隊の記録が根拠となることが多いです。

しかし、その保存期間は5年とされており、この期間を経過した後に取得しようとしても、その取得ができず、上記意識障害の事実が立証できないことになります。

このような事態を防ぐためには、弁護士に早めに相談することが必要です。

同ウの「被害者に、一定の異常な言動が生じていること」については、医療記録の他に、被害者のご家族らによる記録も可能ですので、画像などと異なり、期間の制約は低いといえます。

しかしながら、上記の言動が高次脳機能障害が原因であることにつき、事実を整理しながら立証する必要があるため、これも、専門家である弁護士に対応を依頼したほうがよい事項となります。