交通事故による『高次脳機能障害』は弁護士法人心まで

「高次脳機能障害の損害賠償金(示談金)」に関するお役立ち情報

高次脳機能障害において自賠責の認定した等級より重い労働能力喪失率が認められるケース

  • 文責:弁護士 森田清則
  • 最終更新日:2026年1月19日

1 高次脳機能障害と労働能力喪失率

交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった方やそのご家族から、賠償を受ける上で労働能力喪失の認定が不十分であるというご相談を受けることがあります。

高次脳機能障害が残り、自賠責保険で後遺障害等級が認定されたものの、その等級で定められている労働能力喪失率では納得できないので、より高い労働能力喪失率の認定を受けることができないかというご相談です。

労働能力喪失率は後遺障害逸失利益を計算する際等に用いられ、受け取れる賠償金額にも影響します。

高次脳機能障害による後遺障害逸失利益の計算方法についてはこちらをご覧ください。

結論からいいますと、ケースによっては、より高い労働能力喪失率の認定を受けられる場合もあります。

以下で、詳しく述べます。

2 自賠責保険と労働能力喪失率

自賠責保険においては、後遺障害等級に応じて、次のような労働能力喪失率が設定されています(高次脳機能障害で認定され得る等級のみ挙げます)。

1~3級・・・100%

5級・・・79%

7級・・・56%

9級・・・35%

過去の裁判では、基本的には自賠責保険で認定された等級に対応する労働能力喪失率が認定されることがほとんどです。

もっとも、中には、自賠責保険よりも高い労働能力喪失率を認定した裁判例もあります。

3 裁判で自賠責等級認定よりも高い労働能力喪失率が認められたケース

⑴ 東京地裁平成18年3月2日判決(自保ジャーナル1650号)

このケースでは、25歳の女性、自賠責後遺障害等級は高次脳機能障害5級2号、嗅覚障害12級、醜状障害7級12号の併合3級が認定されました。

嗅覚障害と醜状障害は通常労働能力に影響しないと扱われることが多いため、自賠責基準をそのまま当てはめると、5級79%の労働能力喪失となるはずです。

ところが、この裁判例は、被害者に人格障害があること、易怒性(怒りやすい性格であること)、易興奮性(興奮しやすい性格であること)や、てんかん発作のためアルバイトも対人関係に疲れ退職していることや現時点まで就職できていないこと等を考慮して、92%の労働能力喪失率を認めています。

この裁判例のように、高次脳機能障害の個別の症状の程度や内容、実際の労働の困難性を具体的に立証すれば、自賠責保険の定める後遺障害等級よりも高い労働能力喪失率が認定されることはあり得ます。

⑵ 名古屋地裁平成18年1月20日判決(交民39巻1号58号)

このケースでは、31歳の女性のプログラマーについて、自賠責後遺障害等級は高次脳機能障害7級4号、右動眼神経麻痺等11級相当、併合6級が認定されました。

自賠責基準をそのまま当てはめると、後遺障害喪失率は6級67%となるはずですが、被害者の記憶力及び記銘力の障害の程度が強いことから、労働能力喪失率を自賠責後遺障害等級6級と5級の中間である75%と認めています。

4 裁判で自賠責等級認定よりも低い労働能力喪失率が認められたケース

他方、裁判で、自賠責で認定された等級よりも低い労働能力喪失率が認定されたケースもあります。

例えば、広島高裁松江支部平成16年11月5日判決(自保ジャーナル1577号)です。

このケースでは、20歳の男性会社員が自賠責において高次脳機能障害3級3号が認定されましたが、この男性が定時制高校に通学・卒業できたこと、一人で外出・買い物ができていることから、就労可能性を否定することはできないとして、後遺障害は5級2号相当とし、労働能力喪失率は79%と認定されました。

自賠責保険では3級が認定されており、自賠責基準をそのまま当てはめれば100%の労働能力喪失が認められるはずでしたが、裁判では実際の生活状況等を考慮し、自賠責が認定した等級よりも低い労働能力喪失率が認定されています。

5 弁護士にご相談を

このように、自賠責保険の認定した後遺障害等級では労働能力喪失率が納得できない場合には、訴訟を起こす等で、より高い労働能力喪失率の認定を受けることができる場合もあります。

しかし、訴訟等を起こすことで、かえって低い労働能力喪失率を認定されるリスクもあるといえます。

訴訟等を起こすべきかの判断は、被害者やそのご家族が自分でするのは難しいばかりでなく、危険でもあります。

交通事故に遭い、高次脳機能障害が残ってしまった方やそのご家族の方で、自賠責保険の認定した後遺障害等級では労働能力喪失率が納得できない場合、一度当法人にご相談ください。

高次脳機能障害を得意とする弁護士が、訴訟を起こした場合の見通し等を丁寧にご説明いたします。

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