「高次脳機能障害の損害賠償金(示談金)」に関するQ&A
高次脳機能障害になり働けなくなった場合、どんな補償がありますか?
1 休業損害と逸失利益
高次脳機能障害になり働けなくなった場合、加害者(またはその保険会社)に対し、症状固定日までは休業損害を請求できます。
また、症状固定後、高次脳機能障害の等級が認定された場合は、加害者(またはその保険会社)に対し、逸失利益を請求できます。
ただし、休業損害や逸失利益が損害と認められるために、いくつかの条件があります。
2 休業損害が認められる条件
休業損害は、交通事故により脳挫傷等の傷害を負い、休業を余儀なくされ、収入が減ったり有給休暇を使った場合に請求できます。
休業損害は、「1日の収入額×休業日数」によって算出します。
例えば、会社勤務等の給与取得者の場合、収入額と休業日(欠勤日や有給休暇を利用した日)を証明するために、ご勤務先が作成する「休業損害証明書」と源泉徴収票等が必要となります。
3 逸失利益が認められる条件
逸失利益とは、後遺障害がなければ、将来、得られるはずであった収入等の利益を失ったことによって生じる損害のことです。
そのため、逸失利益は、後遺障害等級が認定された場合に請求できます。
逸失利益は、「年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(中間利息を控除するための係数)」によって算出します。
4 高次脳機能障害の逸失利益の具体例
高次脳機能障害の後遺障害等級は、障害の程度により、1級、2級、3級、5級、7級、9級に分類されます。
労働能力喪失率は、認定された後遺障害等級が基準とされ、1級と2級と3級は100%、5級は79%、7級は56%、9級は35%と考えられています。
例えば、年収800万円の方が、45歳で症状固定と診断されたとします。
後遺障害を申請した結果、9級と認定された場合、逸失利益は、800万円×35%(労働能力喪失率)×15.9369(67歳までの労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)=4462万3320円、となります。
後遺障害を申請した結果、3級と認定された場合、逸失利益は、800万円×100%(労働能力喪失率)×15.9369(67歳までの労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)=1億2750万円、となります。
このように、高次脳機能障害になり働けなくなった場合、高い等級が認定されると、高い金額が補償される可能性が高くなるため、適切な後遺障害等級を獲得することが大切です。
高次脳機能障害で後遺障害等級認定を受けたのですが、事故の時期で賠償金が変わることがありますか? 後遺障害等級認定の結果に不満があるのですが,何かできることはありますか?